「終わった人」

tetu-eng2018-06-03

終わった人
内館 牧子
2018年3月15日第1刷
講談社文庫

不整脈の続々編です。

先週の続きで、24時間のホルタ心電図の結果をお知らせします。結論から言えば、「上室性期外収縮」のみで、他に問題となる不整脈などはないので、心配いらないとのことでした。
検査結果の内容を見せていただき、要約版のコピーもいただきましたが、「上室性期外収縮」が、24時間で約18,000発、1分間に約20発、要するに、ぼくの脈拍は、1分間のうち約20%は不定期な拍動をしているということでした。

えっ、これで、何でもないの?というのが素朴な疑問です。ぼくの心臓は、一定のリズムで規則正しく拍動しているのではなく、乱れ打ち(太鼓じゃないのだから・・・)の状態であることが判明しました。でも、お医者さん曰く、「問題ないですね。」「これで、頻脈になったり、ドッキンっていう症状があったりしたら、来てください。」「先生、テニスはしていいですか?」「大丈夫です」「検診などで、指摘されると思いますが、「上室性期外収縮」といえばいいですよ」「はい!」

ということで、薬もなし、気をつけることもなし、心臓のメカニズムは分かりませんが、どうも、病的な不整脈と生理的な不整脈があり、ぼくの不整脈は後者のようです。したがって、病気ではないということのようです。でも、なんとなく、気持ち悪い感じですよね。いまでも、たぶん、不整脈なのでしょう。とうことで、気にしないのが一番のようです。

やれやれ、年を重ねると、体のあっちこちが老朽化してきますが(ぼくの場合はこころの老朽かも・・・)、どうすれば予防保全ができるのか?最近、テレビの健康番組を見るたびに、食卓に健康食品が増えていきます。

『定年って生前葬だな。
明日からどうするのだろう。何をして一日をつぶす。いや、過ごすのだろう。
「定年後は思いきり好きなことができる」だの、「定年が楽しみ。第二のスタート」だのと、きいた風な口を叩く輩は少なくない。だが、負け惜しみとしか思えない。それが自分を鼓舞する痛い言葉にしか聞こえないことに、ヤツらは気づきもしないのだ。』

最近、シニア向けの指南書や小説が多いですね。ぼくも、適齢期なので、ついつい買ってしまいます。この小説は、内館牧子さんの、女性目線からの男のシニアの生きかたでしょうか?女性目線だから男のとっては、容赦なくシビアな面がありますが、まあ、どういう生き方をしても、正解も不正解もないのだと思います。どちらにしても、男は、本当の葬儀までもがき続けるのでしょう。

『定年が六十歳から六十五歳であるのも、実に絶妙なタイミングなのだ。
定年という「生前葬」にはベストの年齢だ。
あとわずか十五年もやりすごせば、本当の葬儀だ。
嫌いな人とはメシを食わず、気が向かない場所には行かず、好かれようと思わず、何を言われようと、どんなことに見舞われようと「どこ吹く風」で好きなように生きればいい。
周囲から何か言われようが、長いことはないのだ。「どこ吹く風」だ。
これは先が短い人間の特権であり、実に幸せなことではないか。』

うむ、十五年は、決して短くないと思いますが、小学6年間、中学3年間、高校3年間、大学4年間に匹敵する時間です。「どこ吹く風」で過ごせますかね。とは言っても、時間は、知らず知らずのうちに過ぎていって、「本当の葬儀」を迎えるのでしょう。