商売の原点

商売の原点

■商売の原点
鈴木敏文セブンイレブン会長・イトーヨーカ堂会長)のセブンイレブンの創業以来、30年以上の東京の本部で毎週行われる営業会議での挨拶の概要を掲載した本です。もちろん、1500回以上のボリュームなので、全部を掲載するわけにはいかないので、そのうちの約80点が掲載されています。30年以上ですから、当然、時代の動きに併せて、挨拶の内容が変わっていきます。この挨拶の中に、小売業の真髄のようなものがあるのでしょう。
ご存じのようにセブンイレブンは、コンビニ業界で約1万店の店舗を展開する日本一の会社です。日本国内で、コンビニは約3万店、そのうち三分の一のシェアを守り続けています。もちろん、セブンイレブン以外にローソン、ファミリーマートなど、ご存じのコンビニが私たちの身近に多く展開しています。ただし、外国店舗をカウントすると、ファミリーマートの躍進が近年目立っているようです。特に、アジア諸国への進出は著しいものがあります。
話は変わりますが、コンビニは3万店ですが、お寺はどのくらいあるかご存知ですか?国内に約7万寺と言われています。物を売る企業より、心を売るといったら怒られるかもしれませんが、これを産業ととらえると、心産業は、コンビニ1店に対して倍以上あるのです。さて、これに神社を加算すると、どうなるか?調べてみて下さい。
さて、この本は、鈴木会長の挨拶を4つのジャンルに分類しています。この分類が、実は、小売業の理念にもなるのでしょう。第1商売の基本原則、第2お客様の心をつかむ、第3すべては信用から、第4熱意が人を動かす、それぞれのジャンルの私が気になった内容を紹介します。
第1商売の基本
まさに、原理原則です。基本4原則「品ぞろえ」「鮮度管理」「クリンリネス(清潔)」「フレンドリーサービス」これが商売における基本4原則です。この4原則に従って、挨拶が分類されたいますが、そのうち、こんな内容があります。「経費を削減すればよいのではなく、経費をコントロールすることです。経費というものは、それが生み出した結果に対して、かかりすぎているか、それとも有効に生きているかが評価されるべきです。それを正しく評価するためには、作業の質と量をつねに適切に把握しておかなければなりません。それなくして、経費のコントロールはできません。」この経費コントロールのノウハウこそが、企業の最高機密なのでしょう。私の会社に当てはめると、恥ずかしながら、経費を正しく評価するためのメルクマールなしに、むやみにコスト削減を唱えるのみで、コスト削減の評価さへなされていません。そう思いますが、皆さんの会社はどうでしょうか?
第2お客様の心をつかむ
このジャンルが一番興味がありました。「消費は、経済学ではなく、心理学である」と言ってます。つまり「あるものに対して、価値決定に影響を与えるさまざまな要素の中で、お客様がそれをどう価値としてとらえるか、どう自分にとって値打ちのあるもの、ほしいものと感じるかという心理学の分野で考えなければならない。」
この考え方が、このジャンルの「お客様の心をつかむ」、次からのジャンルの「すべては信用から」「熱意が人を動かす」へと続いていきます。
さて、私は、今、会社で11営業店(レストラン、物販など)、8大型ベンダーコーナーの営業の監理を担当しています。そんなに、頑張らなくても、80億前後の売り上げを維持していますが、ライバル店もあり、これからの影響が懸念される環境にあります。そのため、直接、収益につながりませんが、経営基盤の整備を手掛け始めたところです。そんな時、むつかしい経営学の本ではなく、コンビニという企業体の実践な中での鈴木会長の挨拶は、私の仕事へも示唆を与えるものでした。まあ、セブンイレブンの表面を少し覗かせてもらったというのが、正直な感想です。