労働経済の分析

夏の花

労働経済の分析
昨日のブログで記載した「労働白書」は、「平成19年版 労働経済の分析 ワークライフバランスと雇用システム」の間違いだったので訂正します。そこで、労働経済の分析について、要旨をご紹介しますと次のような記述です。

(最近の経済と労働経済の概況)
我が国経済は、2002年の初めに景気回復局面に入った後、二度の踊り場的な状況を経験したものの、その後も、長期の景気回復を続けている。
雇用情勢は厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。完全失業率は2002年6 月に既往最高の5.5%となり、同年8月及び翌2003年4月にも5.5%となったが、その後、低下に転じ、2006年2月には4.1%まで低下し、2007年3月には4.0%となった。完全失業率はなお高水準にあるが、ゆるやかな低下傾向で推移している。
(中略)
フリーターなど若年の不安定就業者は減少しており、フリーターは2003年の217万人から2006年には187万人となった。若年無業者も2006年には62万人と、前年
差2万人減少した。しかし、年長フリーターには滞留傾向がみられ、年長フリーター正規雇用化に向けた取組みの推進が求められている。
(中略)
景気が回復し、所定外労働時間が増加したため、2003年には所定外給与が増加に
転じ、現金給与総額の減少幅は縮小した。そして、2005年には所定内給与、特別給与がともに増加し、現金給与総額は5年ぶりの増加となった。しかし、所定内給与の伸びは力強さに欠け、2006年には再び減少した。小規模事業所の賃金は低下が続いており、事業所規模間の賃金格差は拡大するとともに、非正規雇用割合の上昇によって、所定内給与の伸びは抑制されている。2006年の賃金は、所定外給与と特別給与の伸びによって牽引されている。また、所定外労働時間が5年連続で増加する中で、2006年には総実労働時間も増加し、労働時間短縮の動きは停滞している。
(中略)
我が国経済は、景気回復の期間からみれば、すでに、高度経済成長期のいざなぎ景気を超えているが、経済の成長は、輸出と設備投資に牽引され、消費支出は力強さを欠いている。

ということで、さらに要約すると景気の回復とともに時間外勤務(景気の回復傾向のため仕事量は増加している)は増加し現金給与総額は増加しているが、所定内給与は減少している傾向ということである。さらに、フリーターは180万人、ニートは62万人となった。しかも、年長フリーターは減少していない。この現状に対して、どういった政策が必要かについてのコメントはありません。あくまで、現状の分析で止まっています。
そこで、、私なりにもう一つ分析すると、最低賃金法の改正が前国会で年金問題などの審議の影響で遅れています。すでに、都市部においては、生活保護(単身で160万円程度)よりも最低賃金(時間680円程度、年収で150万円程度)の方が低いという労働意欲を削ぐ状況となっています。最低賃金が上がると、時間給労働者の賃金が上昇します。当然、所定内賃金の改定の論議に火がつくでしょう。これに対して、経済団体が警戒感を強めていることも当然です。
しかし、国際競争力の問題もあるでしょうが、景気が上昇動向にあるといいながら、消費支出が伸びないのは、あきらかに企業収益の労働者への配分が後回しにされているからです。
なぜなら、日本国民は、声を出さなくなった国民に変わったからだと思います。一昔前には、労働争議学生運動など良くも悪くも国民は声を出していました。なぜ、今、国民は声を出さなくなったのでしょうか?
参院選に惨敗した安倍内閣が居座っても、抗議デモも起こせない声なき国民になったのです。なぜ、衆議院の解散で、さらに民意を問わないのか?
声なき国民に企業収益の労働者配分は、当分、望めないのでしょう。
私は、別に特別な思想を持ているわけではありません。今日は、企業利益の分配について、ちょっと意見を申し上げたのみです。
あっ、そうか!安倍総理は、洞爺湖サミットまでは、何とか延命したいのかも!