父への詫び状

父への詫び状

■父への詫び状
少女は秋田に生まれ、大学受験に失敗し、東京で浪人生活を過ごす。翌年から、大学生活を謳歌しながら、卒業後、テレビ、新聞、出版社の取材記者を経験し、その間に、自分史をエッセイとして綴る。そして、2002年ベスト・エッセイに選ばれる。
岡部千鶴子。向田邦子に「父の詫び状」がある。彼女は、向田ファンのようで、多分に向田の作品を意識したタイトルである。
私も、タイトルに惹かれて図書館の新刊本コーナーから借りてきました。
本書は、原稿用紙4枚(400字詰め)程度のエッセイが62編収録されており、「新潟魁新聞」に連載された作品を修正加筆したものだそうです。
作者は、故郷の秋田への愛着が強く、東京で生活していても秋田に係るあらゆる事柄(お酒が好きなようで、酒どころ秋田に関することが多い。)について関心を持ち、そのことをエッセイにしています。従って、全編にわたって、秋田が主題となっています。エッセイは、洒落気が多く、軽妙に描かれているので、読みながら負担を感じることなく、読み進むことができます。秋田出身の方は、図書館で借りて読んでみると面白いかもしれません。
エッセイはフランス語ですが、エッセイとは、どんなジャンルの文章かなどと堅苦しく考えると、エッセイにも、それなりの定義があります。
一、 形式にとらわれず、個人的観点から物事を論じた散文。また、意のおもむくままに感想。見分などをまとめた文章(随筆、エッセイ)
二、ある特定の問題について論じた文章 (小論、論説)
と言った具合に、何だかわかりませんが、文筆の世界では、ある一定の仕分けはあるようですが、私にとっては「そんなの関係ない!そんなの関係ない!オッパッピー!オッパッピー!」と言った感じでしょうか。
今回紹介した本は、ベストエッセイに選ばれたぐらいの作品ですからエッセイなのでしょうが、どうもエッセイと言うには、ちょいと格調に疑問符ありと言ったところでしょうか(辛口コメント)?
なぜなら、エッセイは、やはり、寺田寅彦の文章がお手本でしょうし、皇后陛下も「歩みー皇后陛下のお言葉集」でご披露している「団栗」「竜舌蘭」などは、一度は読んでみてはいかがでしょうか?もうひとつ紹介すれば、そうそう、内田百間の「阿房列車」これは寺田寅彦との双璧。エッセイのバイブルと言っても過言ではないと思います。
今、もう一度読もうと思って、書棚から探し出してきました。まあ、いずれも、古典的なものですが、興味があれば、どうぞ!
いずれにしても、何でもそうなのかも知れませんが、エッセイの世界も、時代とともにスタイルが変わるでしょうし、また、変わらなければおかしいのでしょう。と言って、古典の世界も、顧みることもお忘れなく。図書館に行くと、随筆コーナーには、文筆家以外にいろいろな世界の方たちの名前の本が並んでいます。 もちろん、今回、紹介した方は、あまり知られていない方だと思いますが、そういった方の本も時には面白いものです。何だか、随筆の勧めのようになりましたが、寺田寅彦については、またの機会に、詳しく紹介することとします。