林住期

林住期

■林住期

古代インドでは、
人生を4つの時期に分けて考えたという。
「学生期」、「家住期」そして、「林住期」と「遊行期」。
「林住期」とは、社会人としての務めを終えたあと、
すべての人が迎える、もっとも輝かしい
「第三の人生」のことである。

五木寛之の「林住期」です。タイトルから「臨終」の言葉と思い違えて、「死」についての説法かと勘違いします。私も、書店で、妙なタイトルだなと思いましたが、少し、立ち読みしたところ、そう言った意味ではなく、人生、100年として、25年単位で「学生期」、「家住期」、「林住期」、「遊行期」という時期を迎えるということです。そして、丁度、私は「林住期」の真っただ中にあるので、「うむ、これまでの人生を振り返り、さて、これからの人生をどういう覚悟で迎えればよいのか?」なんて、あまり考えもしませんでしたが、とりあえず、今年は、五木寛之の本を数冊読んだので、続けて読んでみようと手に取ったわけです。
この本の内容は、五木自身があとがきで書いているように、ずいぶん乱暴なことを書いている。それは、五木自身のこれまで生きてきた経験と彼が龍谷大学で学んだ仏教の知識に基づき彼自身の「林住期」の生き方への願望のあらわれである。
結論を述べると、「林住期」までの間に、学び、働き、子孫を育て、そして、それらの目的を失って、解放されたこの時期に、どうやって生きていくか。それは、この時期は、様々な生き方があり、固定されたものではないが、その人なりに新たな学び、新たな働きを求めて、家族のため、会社のためでない、自由な生き方ができる時期であるということです。
そして、そのためには、衰えゆく体を健康に保つことが必要である。人間は50歳を超えると、あらゆる細胞が死に向かって衰えて行きます。人生50年と言いますが、人間の細胞の寿命に昔も今も大差はないそうです。しかし、私たちの環境が大きく変わっていっています。医療環境、精神環境、自然環境など私たちを長く生かすための環境です。いまや、100歳以上の日本人が3万人になろうかとしています。まあ、ブッタは、80歳まで生きています。
といったことが、書き連ねられており、若い人にとっては、辛気臭いお話ですが、やがて、誰もが迎える時期であり、そのことを意識しておくことも必要なことかもしれません。それでも、若い時は、そんなことは毛頭に考えないものです。特に、現代の若者は、そうだと思います。
そんな辛気臭いことを考えられるのは、人生に余裕ができてからの証かもしれません。
ということで、読了後のこの本の感想としては、最近の五木寛之のワールドの集大成のような本でした。