お金の正体

お金の正体

■お金の正体
「お金の正体」日下公人
経済随筆というか経済雑文というか、お金にまつわる経済事情を筆者の経済知識に基づき、軽快な筆致で綴っています。
第1章 金融行政が日本のお金をダメにした
 日本の銀行は預金者の利益を守らず、国際化についての勉強もせず、経営革新を行わず、漫然と大蔵省の庇護を信じて国際金融市場の修羅場に乗り出して、惨敗した。その七つの理由を簡潔にまとめている。

1、市場原理主義に不慣れだったこと
2、多少理解しても、それが自国の政府や政治家にまで浸透して、共同体的な解決は甘えとして切り捨てられることに想像力がなかったこと
3、日本の国家公務員に国益を守る意識がなかったこと
4、国益を守るためには「国権を発動する」という覚悟や経験が政府になかったこと
5、民間企業の経験者にも、市場活動の経験が希薄だったこと
6、官にも民にも、組織より自分個人の利益が先だというサラリーマン的な個人主義の気風が、いつの間にか浸透していたこと
7、外国の悪口を言わないという美しい空気が日本中を支配していたこと

この調子で、厳しく政府、銀行を全編にわたって、切り捨てている。
第2章お金は誤解と偏見に満ちている
第3章お金とはモノの価値尺度である
第4章これからに日本人は、お金とどう付き合うか
第4章が、まとめの章になるが、筆者のいくつかのキーワードがある。「お金は稼ぐためでなく、使うためにある」しかも、稼ぐのは男であり、使うのは女であり、男は女が使うことに喜びを感じるということである。「神代の昔から、男は稼ぎ、女は使う人」「お金の使い道を一番知っているのは女性である」「女性が「お金を立派に使う」社会に未来がある」と、女性が「立派に使って見せるから、男はもっと働いてこい」と言わないと、社会にも経済にも活気はなくなると論じています。
筆者の論調の基礎になっているのは、卑弥呼の時代、女性はシャーマンで神のお告げを感じ取る力があった。しかし、男にはなかった。だから女性が生産も消費も管理して男を指揮した。何故かと言うと、男は狩猟と漁に出掛けるが、女性は1か所に定住して、家で待っているから、天気予報や人間関係が読めるので、リーダーになる。原始社会は、女系社会、母系社会だったということである。
それが、天皇制の前の、女を「ヒメ」、男を「ヒコ」と呼ぶ「ヒメ・ヒコ制」の時代であり、縄文時代から1万年ぐらい続いたということである。語源は、火を絶やさずリレーすることから「ヒツギ」といい、天皇を「ヒツギノミコ」と言う。この時代から、先に、戦争により社会を統一する頃から、「ヒコ」が上位に立つようになった。
我が家は、そうすると「ヒメ・ヒコ制」であり、原始社会を継続している。