「夢を与える」

夢を与える

「夢を与える」
綿矢りさ
河出書房新社
昭和19年2月18日発行
1300円(神戸市立図書館)

綿矢りささんは、1984年生まれですから、まだ若干24歳の作家です。ご存じのように高校時代に「インストール」で文芸賞を受賞して衝撃のデビューをしました。その後、早稲田大学在学中に「蹴りたい背中」で第130回芥川賞を受賞し、19歳の受賞は、同賞の最年少受賞記録となりました。「夢を与える」は3作目の長編小説です。
主人公の夕子(ゆーちゃん)は、ハーフ(フランス系)の父親と日本人の母親に生まれた女の子です。小説は、夕子の生まれる前の父親と母親の交際シーンから始まります。やがて、夕子を妊娠したことから、両親は結婚しますが、その結婚には、影がつきまといます。母親は、夕子をチャイルドモデルにデビューさせ、やがて夕子にCMなどのオファーがあり、夕子は、徐々に、スターの道をあゆんでゆき、やがて国民的なアイドルになります。しかし、18歳の頃から、少しづつ自分の生き方に疑問を持ち始めた夕子は、大きなスキャンダルを起こし、転落の道へと方向が変わっていきますが、小説は、アイドルスターになっていく過程、それから転落していく過程を描いています。
夕子の内面がもう少し、描かれていると、もっと、読み応えがあったと思いますが、何となく、夕子と夕子の周りで起こっている出来事の事実のみが、淡々と描かれている小説です。「夢を与える」というレッテルは、夕子が子役時代のインタビューの答え方として、マネージャーから「見ている人に夢を与える人になりたいです。」と答えるように教えられます。「夢を与える人って、どういう意味なの?」夕子は質問します。夕子は、超多忙なアイドル時代を、常に、この答えを追っていたのだと思います。夕子は、スキャンダルのあと、お決まりの入院で身を隠しますが、そこで、小説は、結末を迎えます。ちょっと、結末に味気なさを感じてしまいました。
「夢を与える」新進気鋭の若くて、将来を嘱望されている綿矢りささんの作品でした。

さて、今日は、昨日の雨から一転、快晴に恵まれて第69回オークスです。桜花賞は、大荒れの結果でしたが、距離が2400mに延びたオークスは、距離適性が血統的にも求められるレースです。また、今年は、絶対的な3歳牝馬がいないということで、出場18頭全頭にチャンスがあり、それだけにどの馬が栄光をつかむのか予想がつきません。
そこで、「dandy−papaの狙い」です。
(3歳オープン牝馬指定、定量
レッドアゲート(内田博)
リトルアマポーラ(武幸)
▲カレイジャスミン(柴田善)
トールポピー(池添)
アロマキャンドル(田中勝)
レジネッタ、エフテイマイア、マイネレーツエルなどの小兵馬もオークスに向いていますが、敢えて、珍しく人気どおりの本命―対抗です。ただし、カレイジャスミンは、2歳馬からの応援馬、トールポピーは復活を期待したい馬、アロマキャンドルは府中2勝馬ということで印をつけました。

結果は、2歳王者のトールポピーの復活、そして、桜花賞の1、2着コンビのエフテイマイア、レジネッタが2着、3着に入線して、結構な配当になりました。
「うむ、来週のダービーに気合を入れ直すとするか!」