放置違反金仮納付書と弁明通知書って何じゃろ?

駐車違反金

会社から帰宅すると、細君が、
「こんなの送ってきたよ?」
と、私にいやな予感を感じさせる封筒を見せました。封筒の中から内容物を出してみると、役所からの得体の知れない文書然としたものが2通入っています。どうも、先日、長男が駐車違反の標章を張られたと言っていたので、その納入告知書だなと思いつきます。
「やっぱり!」
封筒から引き出した2通の文書は、「放置違反金仮納付書」と「弁明通知書」でした。差出人は、兵庫県警放置駐車対策センターです。このセンターって何者ですか。仮納付金額1万円也。
「えっ、駐車違反したのは息子なのに、なぜ、私宛になってるの?」私は、駐車違反した運転者ではありません。面倒くさいので、とりあえず食事を済ませ、ゆっくりとしてから、インターネットで「放置違反金」なる国家権力が強制的に徴収しようとしている金銭の根拠について調べてみました。
それまで、息子への怒りが満ち溢れていました。何で、成人した息子の駐車違反を親が、被らないといけないのか?この世に生を受けて、55年。世の中の為になることは何もできなかったが、少なくとも、交通違反を含めて、世間様にご迷惑をかけたことはないのが、唯一の自慢。
「そんな私が、何故だ!ええかげんにせいよ!」
ところが、制度を調べてみて、怒りは、息子ではなく、「放置違反金」制度に向けられることとなりました。
制度の概略を説明すると、従来の駐車違反制度では、「逃げ得」が多く、実効性が伴わないということで、制度が改革されたということです。「逃げ得」とは、駐車違反をした運転者が自分の所有の車でない場合には、違反者が特定できずに、違反金の徴収ができないということです。
そこで、お上は、運転者が特定できない場合には、車の所有者からお金だけは、徴収しようと考えたのです。しかし、方法が姑息です。息子が違反をしてから、わずか1週間で、「放置違反金仮納付書」が所有者である私に届き、とりあえず、「所有者が仮に違反金を納付しなさい。その後に、違反をした運転者が名乗りを上げて、違反金を払ったら、仮納付金は、返してあげます。」そして、異議があるなら「弁明通知書」を出せ、しかも、自分が違反していないなら証拠を付して提出しろとのこと。
さらに、可笑しいことには、所有者については、交通違反としての「減点」はしないが、運転者である違反者が名乗り出た場合には、「減点」するということです。こんな制度では、仮に、違反者と所有者が同一人であっても、お金さへ払えば、「減点」されないので、お金の取りっぱぐれはありませんが、違反者に対して「減点」を行うという、行政罰は執行出来ないのではないでしょうか?
国家権力は、道路交通法に違反した者から、反則金としてのお金を徴収することだけが目的なのか(ちなみに所有者が支払った場合には、「反則金」ではなく「納付金」です。)、「減点」して、免許停止、取り消しの行政罰はどうなるのか?
簡単に説明すると、駐車違反は、運転者責任制度から所有者(管理者)責任制度に変わったということです。しかしながら、自賠責保険は、強制保険のため被害者保護の観点から、所有者責任制度を採用していますが、駐車違反は、誰のために所有者責任制度なのでしょう。国家のためですか?
こんな可笑しな制度が、2006年6月1日から施行されていました。