明石川散策

稲穂

休日の午前中は、テニスに興じるのが日課ですが、暑さもゆるみ、散歩には、いい季節となってきたので、或る休日に、相棒をつれて明石川方面を散策することとしました。
わが住む町、「西神」は、山を削って、住宅街として開発した神戸のニュータウンです。そのため、町全体が大きな台地のようになっています。この台地の上に、神戸地下鉄西神中央駅を中心として、駅の近くに、マンション群、その周りを1戸建ての家並みが続きます。その台地から、ちょっと、下っていくと、そこは、もう田園地帯です。
今日、目指すのは、稲刈りが始まった田園地帯を抜けて、明石川の方面への散策です。
肩下げの鞄に、スケッチの道具、折りたたみ椅子、飲料水、相棒のおやつを詰め込んで、
「さあ、行くぞ!」の掛け声に、「ワン!ワン!ワン!」
マンションの玄関を出て、高塚公園で犬の散歩している人たちを、左に見ながら、高塚高校の正門で、何やら、大きな歓声が聞こえます。ちょっと、グランドを覗いてみると、女子ソフトボールの試合です。北京オリンピックでの活躍は、記憶に新しい。ついつい、足を止めてゲームを観戦、最初の寄り道です。相棒は、退屈そうに欠伸をしながらソッポを向いています。
寄り道もそこそこにして、さて、この付近から、50段ぐらいの階段を下がると竹に覆われた隘路になります。相棒を抱っこして、この急坂を下りきってしますと母屋と作業小屋のある農家が点在する集落になります。
この集落を抜けると、金色の稲穂が陽光に輝いて見える田圃が広がってきました。田圃のかたわらで、スケッチをしているとき、相棒は、お座りをして、悠然と、クリーム色の毛を風になびかせながら、遠くを見ています。
10分ぐらいで描きおわって、とぼとぼと明石川を目指します。途中、立ち止まっては、畑の「なすび」や「ししとう」をスケッチしながら、漸く、明石川にたどり着き「かたたばし」を渡ると県道83号線となります。
県道の歩道を明石方面に歩いて行くと、新規オープンの創作中華料理のお店を見つけました。まだ、営業時間前のため、店員さんがお店の前を掃除していましが、その店員さんと、「こんにちは!」と挨拶をかわして、さらに、道を進みます。
途中、野犬が、相棒を見つけて。吠えかけてきます。臆病な相棒は、私に、応援を求めるように、私の顔を見上げますが、ここは、早々にやり過ごすのが得策です。
やがて、対岸に渡る橋を見つけたので、そこから、春日台方面を目指して、歩みを進めますが、相棒は、ややお疲れ気味です。少々、交通量が増えてきて、相棒は、行き交う車をお迎えの車と勘違いして、車を追います。何度か、散歩の途中で、息子に、迎えにきてもらったことを覚えているようです。
何とか、相棒を励ましながら、春日台への上り坂をふうふうと、言いながら、登り切ると、大きな調整池が見えてきました。ここまで、戻れば、あとは、高塚公園に向けて、何時もの散歩コースです。
出かけるときは、涼しい顔でしたが、帰宅するときは、顔も汗ばみ、相棒も長い舌がだらりと下がり、1人と1匹には、疲れの色が見えます。
全行程約5キロ、途中、寄り道が多かったので、約2時間の私と相棒の「明石川散策」でした。