「わが人生の歌がたりー昭和の青春―」

わが人生の歌がたり

「わが人生の歌がたりー昭和の青春―」
 五木 寛之
 角川書店
 平成20年3月31日発行
 1500円(神戸市立図書館)

装画の作者は、風間完さんです。
カバーの表紙は、「青春の門」の筑豊をイメージしたものでしょうか?でも、風間完さんは、2003年にお亡くなりになっているのに、何故、平成20年発行の本のカバーの装画に使われているのでしょうか?おそらく、過去に、五木さんの本の装画を手掛けられて、その時のものを、今回、新たに、採用したものだと推測できます。
風間完さんは、挿絵画家ですが、その作品で、私の知っているものは、雑誌の表紙の肖像画です。学生時代、私は、二つの贅沢をしていました。朝日新聞を購読することと、「週刊朝日」を毎週、購読することです。当時、東京の京王線沿線の桜上水で、学生アパート暮らしの私には、贅沢この上もないことでした。
その「週刊朝日」の表紙絵に、毎週、風間完さんの女優や女性歌手の肖像画が掲載されていました。そして、その肖像画の複製を、抽選で頂けるということで、私は、何度か、応募し、一度だけ当選したのです。送られてきた「週刊朝日創刊3000号記念」「岡田奈々」「風間完・画」は、今でも、大切に保管しています。
さて、この本は、三部作になっています。第一部は、「わが人生の歌がたりー昭和の哀歌―」。五木さんの生年である昭和7年から20年代の世相と五木さんの人生、そして、その当時の五木さんの心に残った歌の紹介です。第二部が、この本で、昭和20年代後半から昭和40年代までです。第三部は、未刊です。

『自らの人生とともにある昭和の歌謡曲を、ひとつひとつ慈しむように語り下ろした「わが人生の歌がたり」(角川書店)は、NHK「ラジオ深夜便」で好評のコーナーから生まれた作品。トークと歌詞を併載。』

NHK「ラジオ深夜便」は、毎日、23時から翌朝5時までの放送で、この放送のコーナーで、五木さんの「わが人生の歌語り」があったそうです。私は、この時間帯は、白河夜船なので、もちろん、この放送のリスナーではありません。

『流れ行く川のように、時代は移り、人も変わる。
 その後に一つの歌が残り、過ぎゆく季節の記憶を奏でる。』

この本で、紹介されている歌の中で、私にとっても、懐かしい歌がありました。「赤と黒とのブルース」は、昭和28年のヒット曲で、私の生年です。鶴田浩二さんのこの歌を、亡父が、しばしば口ずさんでいたことを思い出します。「下町の太陽」は、倍賞千恵子さんの歌ですが、下関で一人暮らしをしている母が、むかし、台所で夕食の支度をしながら口ずさんでいました。
コーヒールンバ」は、西田佐知子さんの歌ですが、井上陽水さんがカバーをして、私が、スナックで、時折、歌います。私は、本も歌も、今、ベストセラーになり、ヒットしたものを読んだり、聞いたりします。これが、若さを保つ秘訣と思っています。知らない作家の本でも、毎月、新刊の文庫本を漁っていますが、歌は、もう、無理かもしれません。それでも、ギリギリ、今、CDラジカセからは、尾崎豊さんの「卒業」が流れています。