浪華三大橋

中之島公会堂

大川(旧淀川)に架かる「天満橋」「天神橋」「難波橋」を総称して「浪華三大橋」といいます。「天神橋」「難波橋」は、途中、中之島を挟みます。
ある土曜日、細君の買物のお供で、久しぶりに大阪まで出かけました。行先は、天満橋。大阪までは車で、1時間弱。運転手は、息子です。もちろん、相棒も一緒です。玉津から第二神明に入り、須磨から阪神高速法円坂を出て、大阪府庁や大阪城を横目に見ながら進むと、すぐに、天満橋です。
目的地に到着すると、細君と息子は、買い物へ、私と相棒は、大阪散策へと別れます。何故かと言うと、相棒は、犬のため、お店の中に入れないからです。
さて、ここからが、思案のしどころ。私も相棒も、大阪の地理には、まったく不案内につき、右に行くものか、左に行くものか、迷ってしまいます。相棒に問いかけても、すっとボケた顔で私を見つめるだけです。
そこで、天満橋のうえで、右と左を眺めてみると、大川の上流だか下流だかも解りませんが、中州が見えます。「ほっほう。あれが中之島かな。」と思い、「そうだ、中之島へ行こう。」と行き先を定めます。逆の方向は、川が、曲がっており、先の方が見通せませんでした。
相棒に、「さて、こっちに行くよ。」と声をかけると、相棒は、尻尾をピンと立てて、血統書つきの犬らしく威厳を漂わせながら、歩き始めました。相棒のイエローオーカー色の毛が、心地よさそうに大川の川風に揺れています。
天満橋を渡り切ると大川の河川敷が遊歩公園になっていました。昨日の雨の影響で、やや、地面が湿っていましたが、ジョギングをする人、散歩をする人、テニスコートでテニスをする人、ちょっと、覗いてみるとベンチに座ってバイオリンの練習をする人、みんな大阪の人です。当たり前です。犬を連れている私も、あちらから見れば、まさか神戸の人とは思っていないでしょう。
他愛もないことを考えながら、散策していくと、天神橋にかかりました。天神橋を渡る途中に中之島があります。天神橋の中程から、階段で中之島に降りましたが、残念ながら、中之島公園は、工事中で、園路だけが解放されており、バラ園などは、現在、整備中。「お気をつけて、お歩きください。」の看板を横目に、先に進むと、古そうな建物をみつけました。
「あっ、中之島公会堂だ。ちょうどよかった。」早速、鞄から画材道具(ピグマペン(0.5m)、Post−CardのClester水彩紙、Winsor&Newtonの固形絵の具、そして呉竹の水筆)を取り出し、ベンチに座って写生を始めました。こうしたシチュエーションには、慣れている相棒は、私の横にペタリと寝転んでいます。
暫くすると、「パシャ、カシャ」と私と相棒の後ろで、妙な音がします。振り返ってみると、ビックリです。素人カメラマンが10人ぐらいの集団で、私と相棒を被写体にして中之島公会堂の撮影をしていました。「大人しい犬ですね。」って、相棒も、何事かとおもって、キョトンとしています。何と言ってよいか解らないので、こういった時に便利な「どうも。」と愛想よく挨拶を返しましたが、内心、「何やってるんだろう。」
中之島公会堂から難波橋へ向かうと、橋詰めの高欄に大きなライオン像があります。片方が口を開け、片方が口を閉じて、「阿形像、吽形像」となっています。別名「ライオン橋」の由来が解ります。
難波橋を渡りきって、北浜の大阪証券取引所の「五代友厚銅像」を仰ぎ見ながら、天満橋までの帰り道になります。ちょうど、細君から携帯に着信。
「今、どこにいるの?」
「北浜」
「北浜ってどこ?」
「う〜ん。あと15分ぐらいで天満橋
「今、天満橋スターバックスでお茶しているから」
「わかった。さあ、かあさんが待ってるって」と相棒にサインを出すと、その言葉に反応して、相棒の尻尾はピンと立ちあがりました。