「坊ちゃん」

坊ちゃん

「坊ちゃん」
 夏目 漱石
 新潮文庫
 昭和25年1月31日発行
 平成16年5月20日120刷
 286円

『親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。』

の書き出しで始まる小説と云えば、「ピンポン」・・・「「坊ちゃん」です。」最近、クイズ番組では、たまに出題される国語の問題です。今から、93年前に没した夏目漱石という国民的な小説家が、今から104年前に発表した国民的な小説「坊ちゃん」。中学生ぐらいの教科書に、掲載されていたので、誰もが、一度は読んだことがあると思います。
私も、小学生か、中学生のころに初めて読んで、さて、もう、何度、読んだことでしょう。何度、読んでも新鮮で面白い、これが「坊ちゃん」という小説の不思議な魅力です。今回、読むきっかけとなったのは、朝日新聞のー重松清さんと読むー百年読書会の7月の課題図書だったからです。さて、私の投稿した感想は次のとおりです。

『松山の高校教師の月給が40円。「そんなえらい人40円で遥々こんな田舎にくるもんか。」と坊ちゃんはうそぶく。松山から東京に戻って、ある人の周旋でなった街鉄の技手の月給は25円で、家賃は6円。玄関つきの家ではないが、清は至極満足。
おやじが死んで、家財を処分したお金から兄が、600円をくれた。600円の使用方法は、「600円を三で割って一年に200円ずつ使えば三年間は勉強が出来る。」
「坊ちゃん」には、お金の話がよく出てきます。学生が、一年200円で勉強できるとすれば、現在の貨幣価値に直すと、大雑把に、学費が80万円、生活費が下宿代込みで150万円、合計230万円ぐらいでしょうか。中学の教師の年収の480円が、552万円で、街鉄の技手の年収の300円が、345万円ぐらい。とすると、明治の初任給の方が、平成の初任給よりは、結構、いいのではないでしょうか。』

「団子二皿七銭」これが、気になりました。
『温泉は三階の新築で上等は浴衣をかして、流しをつけて八銭で済む。その上に女が天目へ茶を載せて出す。』道後温泉本館と思われますが、私も、三階の「霊の湯個室」を利用しました。「流し」とは、何を意味するか解りませんが、現在は、「浴衣、タオルをかして、お茶菓子をつけて1500円」です。すると、「団子二皿七銭」は、1500円程度になりますが、高くはありませんか。
まだ、あります。『住田まで上等が五銭で下等が三銭だから、僅か二銭違いで上下の区別がつく。こう云うおれでさえ上等を奮発して白切符を握っている。』現在、松山市駅から道後温泉まで、伊予鉄道で大人300円。今は、上下の区別がないので、三銭が300円といったところでしょうか。
汽車賃を基準に考えると、一銭が百円ということになりますが、温泉代を基準に考えると、一銭は、200円程度になります。
さらに、山嵐と坊ちゃんの障壁になった机の上の「氷水のお代が一銭五厘」は、150円〜300円。まあ、まあ、妥当なお値段ですが、最後に、やはり、「団子二皿」は、ちょっと、高くはないでしょうか。漱石の憶え違いでしょうか。