ぶらり「福崎の町」

福崎

「知らない町を〜♪♪ 歩いて見たい〜♪♪ どこか遠くに 行きたいな〜♪♪」
福崎の町は、兵庫県の中央部に位置し、人口2万人程度の小さな町です。神戸の西神からは、車で、1時間程度。主な産業は、農業と林業。そんな小さな町ですが、私には、馴染みがあります。それは、この町には、播但自動車道と中国自動車道の結節点である福崎インターチェンジがあるからです。
山陽自動車道が全通するまでは、神戸から私の故郷である下関まで、車での帰省には、このインターを利用して、中国自動車道を走るのが便利でした。その頃には、福崎の町には、立ち寄ることはなく、通過場所にしかすぎませんでした。
土曜日の朝、細君から福崎へ行ってみようよ。との誘いがありました。細君は、「ステーション」というコープ発行のタウン誌で、「福崎の町」の紹介を見て、訪ねてみたいと思ったようです。私も、福崎という名前には、むかしの思い出もあるので、早速、出かけることとしました。
福崎の最初の目的地は、兵庫県指定文化財の建造物になっている「福崎郡歴史民俗資料館」です。その日は、梅雨の合間のとても蒸し暑い日でした。建物は、明治の建築ですが、洋風で白いペンキが、太陽の光と周りの緑とのコントラストのなかで輝いているようでした。展示品は、どこにでもある「民俗資料館」です。
福崎は、民俗学の権威でもある「柳田國男」の生誕地ということで、そのひとに係る資料が目立ちます。柳田國男。もう随分と以前ですが、「遠野物語」という岩手県の民話を編纂した本を少しめくったことがあります。めくったことがあるとは、おそらく、読み切っていないということです。河童の話とか、・・・だったかな。
ちょうど、お昼時になったので、福崎の特産「もちむぎ麺」を食べようと「もちむぎのやかた」というお店を覗いてみました。残念ながら、相棒(ダックスフンド)の入店は、お断りです。仕方なく、諦めようとしたところ、入口に縁台があったので、細君が、お店の人に、ここで、食べさせてもらえますか。と、やや、厚かましいお願い。ところが、思いがけなく、暑くてよければ、結構ですよ。との親切なおもてなし。ありがたく「もちむぎ麺」を食することができて感謝、感謝です。見栄えは、ちょっと薄茶色の太いそばのようですが、こしのある「うどん」です。
お礼にPRすると、「もちむぎ」は一般の小麦に比べて灰分が多く、高たんぱく、高ミネラルの健康食品として注目されているそうです。はじめて、知りました。
さて、お腹も満腹となったので、ぶらり、ぶらり、と町並み見物です。「旧辻川郵便局」「大庄屋三木家」などの史跡を巡り、食いしん坊の2人と一匹は、雑誌に紹介されているお店を探します。まずは、おしゃれなケーキ屋さんに立ち寄りますが、喫茶ルームは、1匹の入店お断り。つづいて、焼きたてパン屋さんを見つけると、ここの入口にベンチを発見。これ幸いと、ベンチに腰掛け、焼きたてのアンパンをいただきました。
さらに、暑い暑いと言いながらも、川にかかる橋で川風に涼みながら、ミニ鯛焼き屋さんを目指します。ここでも、入口の縁台に腰掛け、「ミニ鯛焼き」と「かき氷」をごちそうさまでした。そこから、河川敷の公園で一休み。いつものように、スケッチ道具をとりだして、福崎の川沿いの家並みをサッ、サッ、サ。うむ、空の青さが、いまいちかな。横には、相棒が暑さで長い舌でダラリと垂れ下げて、ハア、ハアと体温調整に余念がありません。
とりあえず、スケッチが仕上がって、駐車場までの帰り道。あらたな発見です。「銀の馬車道」という史跡看板です。ここは、生野銀山と姫路の飾磨港を結ぶルートとして交通の要所だったのです。江戸時代には、銀山の鉱物を積んだ馬車が往来するための道が整備されていたのです。むかしを偲ぶように、この道の両横には、酒屋さん、米屋さん、醬油屋さんなどが、今も、点々と立ち並んでいます。
暑さでへこたれた相棒を抱きかかえながら、ようやく、「ふう、ふう」と駐車場にたどり着き、福崎の町に「さようなら」をします。さて、さて、ぶらり「福崎の町」は、おいしい食べものと知らなかった歴史の発見がありました。