文藝春秋十月号に「司馬遼太郎が愛した日本人」という座談会記事が掲載されています。これが、なかなか面白い。とりわけ、司馬遼太郎ファンとしては、司馬遼太郎の多くの小説を俯瞰したようなものであり、司馬作品を、それぞれ思い出させてくれる座談会記事でした。内容は、「文藝春秋十月号」をお買い求めいただき、読んでいただきたい。
座談会の出席者は、半藤一利(昭和史家・作家)、山内昌之(東京大学教授)、磯田道史(茨城大学准教授)、水木楊(作家)の各氏です。
ここには、司馬作品とその主人公だけを羅列してみます。
『龍馬がゆく』ご存じ、来年の大河ドラマの主役坂本龍馬(福山雅治主演)
『国盗り物語』蝮と呼ばれた斎藤道三
『菜の花の沖』淡路島出身の高田屋嘉兵衛
『尻くらえ孫一』信長に楯を突いて、鉄砲衆を率いた雑賀孫一
『播磨灘物語』「人に媚びず、富貴を望まず」と遺言した黒田如水(官兵衛)
『俄』大阪の侠客、明石屋万吉
『新史 太閤記』豊臣秀吉の辞世の句
「露と置き露と消えぬる我が身かな浪華のことは夢のまた夢」
『功名が辻』土佐の山内一豊
『夏草の賦』『戦雲の道』土佐の長曽我部元親、盛親の親子
『花神』近代陸軍の創設者、大村益次郎(村田蔵六)。靖国神社の参道に銅像があります。
『峠』長岡藩の河井継之助
『歳月』日本に近代法の制度を導入した佐賀鍋島藩の江藤新平
『翔ぶが如く』「日本が生んだ最高の傑作」西郷隆盛
『覇王の家』の徳川家康、『関ヶ原』の石田三成、『城塞』の真田幸村
『最後の将軍』「二心殿」というあだ名をつけられた徳川慶喜
『燃えよ剣』司馬作品の真骨頂、新撰組副長土方歳三
『殉死』明治天皇が深く愛した乃木希典
最後の2冊は、私のもっとも愛した司馬作品です。
『世に棲む日日』吉田松陰、高杉晋作の辞世の句
「身はたとえ武蔵の野辺に朽ちぬともとどめおかまし大和魂」(松陰)
「おもしろきこともなき世をおもしろく棲みなすものは心なりけり」(晋作)
『坂の上の雲』正岡子規、秋山好古、秋山真之
待望のNHKでのドラマ化。実家には、昭和44年ごろの発行初版単行本6巻を所蔵、我が家には、昭和53年改訂第一刷単行本6巻と文庫本9巻を所蔵。
ちょうど、私が、十代後半から二十代にかけて、どっぷりと入り込んでいった司馬ワールド。私のパーソナリテイーは、これら司馬ワールドに大きな影響を受けたかもしれません。いま、もう一度、入り込もうと思っても、かなりの体力と持久力が必要だと思います。読書は、エネルギーを使うものだから。