「わが子の就職を考えるセミナー」

関西学院

先週の土曜日のことです。息子の大学(正確には、大学後援会)から「わが子の就職を考えるセミナー」開催の案内が来たので、就職状況の厳しい時期でもあり、親としても、ちょっとは、今時の就職事情を勉強する必要があると考えて、のこりのこりと、大学まで出向くこととしました。
朝8時。いつもの出勤時間と同じです。違うのは、スーツ姿ではなく、ポロシャツにジーパンというラフなスタイル。西神中央駅から神戸市営地下鉄三宮駅まで、ここまでは、ウィークデイの出勤と同じ。ここから、阪急三宮駅へ。阪急電車の普通に乗り込み、西宮北駅で阪急宝塚線に乗り換え、甲東園下車。駅前で、バスの案内のおじさんが、「大学行きのバスがでるよ。」との呼びかけがあり、いそいそと、バスに乗車して、大学前で下車。途中、バスは、上ヶ原という甲山の麓であろう台地まで、坂道を、くねくねと上っていきます。ここまで、所要時間は、1時間20分。
大学の正門を入ると、まるで、西洋映画に出てくるようなキャンパス風景が広がります。全面は、一面の芝生、学内通路に横には、背の高いシュロの木が、尚更、ハイカラっぽっさを演出しています。私の出身大学は、東京の神保町の商業ビルの林立するなかに、点々と大学校舎があり、まったく、キャンパスなどと言うものには無縁でした。しかも、校舎の入り口や校舎のなかは、独特なペンキ文字で書かれた立て看板が埋め尽くしており、とても、学問を学ぶという環境ではありませんでした。
セミナーの開催される講堂には、正面の舞台の上に「Mastery for Service」(「奉仕のための練達」)というスクールモットー。全体的には、チャペル風です。椅子は、木の長椅子で、やはり賛美歌が似合うスペースです。どれもこれも、舶来っぽい雰囲気です。
セミナーの出席は、中年のご婦人が多く、ご夫婦づれもチラホラ。大学のキャリアセンターの職員が、就職状況について説明。昔で言えば、就職指導課です。その後、某大企業の就職担当者の企業からみた就活(就職活動を最近「就活(シュウカツ)」と言います。)のあれこれ。最後に、無事、来年度採用の内定をもらった4年生を交えてのパネルデスカッション。うちの子と違って、しっかりしている学生を見て、「うちの子は大丈夫かいな。」と一抹の不安が、心をよぎります。最後に、「子どもに任せて、見守ることが大切」のエンデイングで終わりました。
やれやれと背中を伸ばしながら、細君に「いま、終わった。これから、散歩しながら帰る。」とのメールを発信。細君から、「えっ、競馬に行かないの。」との返信。「うむ。すでに、我が心、読まれている。」ということで、細君のお薦めもあり、大学から、のこのこと仁川(甲東園の一駅さきの駅)を目指して、高級住宅街の立ち並ぶ街を歩いていきます。
その行く先は、「阪神競馬場」です。歩くこと、わずか、20分。ここに来たのは、何年ぶりでしょう。昔は、競馬新聞を小脇に抱えて、赤鉛筆を耳に挟んだ「へんな小父さん」が、のたのたと歩いていた道、道の脇には、予想屋さんや屋台が建ち並んでいた賑わい。すべて、一掃されて、綺麗な地下道と、大きなゲートで迎えられ、周りには、若いカップル、親子連れが目立ちます。
大学も、競馬場も、時代とともに移り変わっていきます。変わらないのは、どうも「へんな小父さん」の頭の中だけのようです。