「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」

tetu-eng2011-06-19

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」
岩崎 夏海
ダイヤモンド社
2011年1月20日第26刷発行
1600円+税

最近、週末が忙しくて、先週、また、また、お休みをしました。何が、そんなに忙しいのかって、それは、私事都合です。本は、読んでいるのですが、ブログを書く時間が、ちょっと、なかったのですね。本も、今月号の「文藝春秋」を買いましたが、まだ、ほとんど、読んでいないのには、参ってしまいます。うん、東日本の震災から、時代の流れが速すぎて、「文藝春秋」の記事が、追いつかなくなっています。記事が古くなって、ニュース性が損なわれていますが、月刊誌の宿命ですかね。何の話をしていたのか?本題に入ります。
さて、今週は、何と、発売からわずか半年で100万部を突破した、あの、あの、「もしドラ」の登場です。ベストセラーで、かつ、昨年の大きなムーブメントにもなった本です。小説ではありません。このジャンルの読み物を、どういう風に言うのかを、知りません。あらすじは、皆さま、ご存じのとおりです。女子高校生の川島みなみが、県立普通高校の野球部の女子マネージャーとして入部します。みなみは、野球部を甲子園に出場させようという目標を持っていました。その目標を達成するために、どうすればよいか?そこで、ドラッカー先生の登場です。

『川島みなみが野球部のマネージャーになったのは、高校二年生の七月半ば、夏休み直前のことだった。
 マネージャーになったみなみは、一つの目標があった。それは、「野球部を甲子園に連れていく」ということだった。彼女はそのためにマネージャーになった。
「どうやったら野球部を甲子園に連れていけるか」と考える前に、まず、「野球部を甲子園に連れていく」と決めてしまった。そして、そう決めたらもう考えるのをやめ、すぐ行動に移したのである。』

さて、みなみが最初に考えたのは、「マネージャー」という言葉の意味です。「広辞苑」をひいて調べました。類似語に「マネジメント」という言葉もあります。そこで、みなみは、本屋さんで、この二つの言葉の意味の理解できる本を探しました。そこで、本屋さんから紹介された本が、そのままずばりの「マネジメント」と言う本でした。著者は、ピーター・F・ドラッカーで、翻訳者は上田惇生(あつお)、出版社はダイヤモンド社、値段は二千円。ドラッカーの「マネジメント」のエッセンシャル版です。30年以上前に書かれた本ですが、世界で一番読まれている本です(聖書の次かな?)。

『本を買ったみなみは、家に帰ると早速それを読みだした。しかし、読んですぐに後悔し始めた。本の中に、野球についての話がちっとも出てこなかったからだ。それは、野球とは無関係の、「企業経営」について書かれた本だった。
 ところが、その本は意外と面白かった。また、単に「企業経営」についてだけ書いてあるわけではないというのも次第に分かってきた。そこには、企業を含めた「組織」の経営全般についてが書かれていた。
 そして、それなら野球部に当てはまらないこともなかった。野球部も、広い意味での組織だった。』

この本の随所に、ドラッカーの「マネジメント」からの引用が書かれています。みなみが、悩んだ時に、迷った時に、「マネジメント」は、みなみに解決策のヒントを与えてくれます。さて、みなみは、甲子園に行くことができたでしょうか?それは、読んでからのお楽しみです。この本は、要するに、「マネジメント」の入門書ということができます。しかし、面白い本を書いたものです。私は、岩崎さんのこのアイデアを称賛します。しかし、この本のお陰で、本家本元のドラッカーの「マネジメント」が、また、売れ始めているかどうかは知りません。