「ビブリア古書堂の事件手帖 4 〜栞子さんと二つの顔〜」

tetu-eng2013-03-17

ビブリア古書堂の事件手帖 4 〜栞子さんと二つの顔〜」
 三上 延
 メデイアワークス文庫
 2013年2月22日初版発行
 570円(税抜)

「読みたくないものは 読まない」
 
 今回の芥川賞「abさんご」は、ついに、投げ出しました。横書きで、ひらがな表記が多く、頭の中で漢字に変換しないと、読めない。まったく、疲れる小説です。選者の皆さんも、同じ感想を持っていて、何故、芥川賞か?辛抱して、読了すれば、文学的な価値が解るのでしょうか?でも、そこまでして、小説を学問的に読みたくはない。もっと、小説は、作者が自己陶酔するのではなく、読者が陶酔するもの。したがて、「読まない。」というか、「読めない。」のです。
それよりも、気楽に読める「ビブリア」の方がいいね。私は、文学好きではなく、ただ、「読みたい本を読むのが面白い」だけ。

『俺、五浦大輔は北鎌倉にある古書店、ビブリア古書堂でアルバイトをしている。働き始めたのは2010年の夏だから、もう半年以上経つ。』

 「ビブリア古書堂の事件手帖」のシリーズ4作目です。従って、「ビブリア」の「読書雑感」も4回目。フジテレビ月9で絶賛上映中ですが、視聴率は月9の最低とのことです。でも、我家では、細君ともども、結構、ウケています。何故かな?栞子さん役の剛力彩芽が、原作とイメージが違うって・・・、そりゃ、仕方ないでしょう。栞子さんは、小説の中の人、実写ではね・・そりゃ、無理でしょう。過去3作は、短編連作でしたが、4作目は、長編。作者の力が入ってきました。

『うつし世はゆめ よるのゆめこそまこと  乱歩』

 4作目では、栞子さんが、江戸川乱歩の古書にまつわる謎を解き明かします。江戸川乱歩といえば、男の子は、皆、知っていますよね。子供の頃、「少年探偵団」「怪人二十面相」などを読んだ記憶があると思います。明智小五郎、小林少年の活躍に、ドキドキ、ハラハラ。友達が集まっては、「少年探偵団ごっこ」なってものは、昭和の子供の遊びです。ところで、江戸川乱歩って、何時の時代の作家か知っていますか?

『「っていうか、江戸川乱歩っていつの時代の人なんですか」
「明治二十七年・・・・1894年生まれですね。没年は昭和四十年。デビューは大正十二年、二十八歳の時です」
 栞子さんは打てば響くように答える。こういう年代が全部頭に入っているのも、この人の凄いところだ。頭の中はどうなってるんだろう。
「大正時代末期、日本の推理小説は・・・当時は探偵小説とよばれていましたが、まだあまり認知されていないジャンルでした。乱歩以前には専業の探偵作家すら皆無に近かったんです。デビュー当時はいわゆる「本格派」の作家で、論理的な謎解きに重きを置く短編を次々と発表していました。」』

 江戸川乱歩の小説は、何時の時代になっても、改定版が発行され、少年少女の推理小説として愛されています。昨日、図書館で、やはり、ポプラ社の「少年探偵団」を借りている子供がいました。懐かしいですね。

『「江戸川乱歩横溝正史って、仲がよかったんですか?」
「もちろんです。そもそも、知人の紹介で親しくなった横溝正史に、探偵小説を書くよう勧めたのは乱歩ですから・・・デビューのきっかけを作ったわけですね。若い頃、横溝正史は雑誌の編集者としても活動していたのですが、一時期は乱歩の担当編集も務めていました。乱歩が他界するまで、四十年の長きにわたって交流が続いていたそうです」』

 「ビブリア」もいよいよ後半だそうです。もう、5作目が待ちどおしい気持ちですが、来年ですかね?次作は、誰の作品がテーマになるのでしょうか?それは、秘密です。