「東京バンドワゴン」

tetu-eng2013-11-03

東京バンドワゴン
 小路 幸也(Shoji Yukiya)
 集英社文庫
 2008年4月25日第1刷発行
 552円(税別)

今週、園遊会において、山本太郎参議院議員天皇陛下に手紙を手渡したことが話題になっています。賛否両論。議員辞職を求める意見もあります。江戸時代の「直訴」じゃあるまいし、天皇陛下にお手紙を出すことは、宮内庁にすれば迷惑かもしれませんが、いいじゃないですか。それも、宮内庁のお仕事でしょう。天皇陛下の政治的利用なんて、もっともらしいことを言い訳にしているが、山本太郎自民党議員であれば、きっと、違っているしょうね。何事も、時の権力者に阿(おもね)ることのない公平な判断が必要です。天皇陛下は、内閣の助言と承認に基づき国事行為を司るのみです。その原理原則がしっかりしていれば、揺らぐことのないのが象徴天皇制です。GHQは「symbol」と表記し、そして、これを「象徴」と訳しました。40年前にそう学びましたね。

土曜日、21時、日本テレビ系、「東京バンドワゴン〜下町大家族物語」、放映中。昔、懐かしいホームドラマ。原作が、小路幸也(Shoji Yukiya)のこの小説です。2008年の発行ですが、このあと、続編が次々と発刊されており、今年8月に第8作目が発刊されたところです。そこで、漸く、ドラマ化ですか?小路さんの作品は、一昨年、「花咲小路四丁目の聖人」を読みましたが、これも、下町の商店街が舞台でした。そのとき、機会があれば、「東京バンドワゴン」を読みたいと思っていたのですが、ドラマ化ということで、第1作目を読みました。でも、シリーズで第8作もあるとは驚きでしたね。

東京バンドワゴン」とは、東京の下町の堀田家が営む古本屋さんです。堀田家は、四代8人が同居する大家族です。平成の時代には、ちょっと、お目にかかれない家族ですね。我が家は、夫婦2人と相棒(老ダックスフント)が1匹です。鬱としいことも多いと思いますが、楽しいことは、もっと、いっぱいあるでしょうね。まずは、家が大きくないと無理ですね。幸い、堀田家は、1家族1部屋。でも、子供が大きくなれば、無理ですね。って、どうでもよい心配をしました。

『そういう下町の一角、築七十年にもなる今にも崩れ落ちそうな日本家屋の古本屋が<東京バンドワゴン>です。
妙な名前でしょ?明治十八年の創業からずいぶん珍しがられたようだと先代から聞いています。
所謂古本を売ることが商いと言いましても、そこはそれ、時代の流れと言いますか。誰かの歌ではありませんが古い革袋にも新しい酒が入るもので、最近はカフェも隣で一緒にやっているんですよ。
けれどまあ、要するに古色蒼然。ただそれだけが自慢のようなものです。』

堀田家の家族を紹介すると長くなるので、それは、是非、本を読んでいただくとして、実は、シリーズ8作目となると、家族も増えています。四代は変わりませんが、家族は12人になっていますよ。ただし、「東京バンドワゴン」には住み切れないので、近くのアパートに分住しています。でも、大家族の風景は変わりません。これからも、進化する「東京バンドワゴン」。でも、変わらないのは「LOVE」です。

『「花陽もお、LOVEを感じる年だねえ。だから、わかると思うんだけどお、藍子はね、君のお母さんはね、きっと一生に一度と思えるくらいの恋をしたんだねえ」』
「一生に一度?」
「それはね、もう人生で誰も好きにならなくていいっていうぐらいのすごい大きな大きなLOVEさあ。そうして、その大きなLOVEが、花陽になったんだあ」
「わたしに?」
我南人がにっこと笑って頷きます。
「LOVEはね、遠く離れていたって、相手の姿が見えなくたって、そこにあるもんだよお」』