「女のいない男たち 短編シリーズ」

tetu-eng2014-01-05

「女のいない男たち 短編シリーズ」
 村上春樹文藝春秋

今年のお正月は、天気が良く、また、神戸は暖かくて、まことに、結構でした。初詣の人出は、例年より多かったように見えましたが、景気が、良くなっているのでしょうか?僕は、本を読んで、ウクレレを弾いて(J−POPの楽譜をアマゾンで買って、練習中)、テレビを見て(特に、箱根駅伝はドラマですね。)、散歩をして、ゆっくりと、のったりと、過ごすことができました。皆様は、いかがでしたでしょうか?

 村上春樹の短編小説が、文藝春秋に掲載され始めました。12月号に特別寄稿と書いてあったので、1回限りか?と思っていたら、新年特別号に第二編が掲載されました。いつまで続くか解りませんが・・・。そもそも、全体のプランが明らかにされていないのは、行き当たりバッタリなのでしょうか?新年特別号のタイトルを見て、「女のいない男たち 2」となっていたので、僕が、勝手に、「女のいない男たち 短編シリーズ」とタイトルをつけました。

「ドライブ・マイ・カー」(12月号)


 家福(かふく)は性格派の俳優。美人女優の妻と結婚するが、妻は、病気で退会した。あるとき、眼を患って車(サーブ900コンバーテイブル)の運転ができなくなった家福は、親しい修理工場の経営者の紹介で若い女の運転手を雇います。彼女のドライブテクニックは、折り紙付き、寡黙で、軽やかに、こまめにギアチェンジをします。
 車に乗っているとき、人は、普段以上に、おしゃべりを楽しむようになります。日頃、口をきかない男親と娘も、そうなるようです。何故かというと、顔、眼をみながら話す必要がないからです。まっすぐ前を向いて、お互いの話にうなずき、自分の話したいことを、とりとめもなく話す。カウンセリングには、恰好のシチュエーションなのです。
 そんなシチュエーションのなかで、家福は、亡くなった妻の浮気の相手の話をします。彼は、妻が浮気をしたその理由が知りたかった。そのために、おなじ俳優仲間の妻の浮気相手に、共通の話題である妻の話をするために、近づきました。
 

「イエスタデイ」(新年特別号)


 昨年、30日にお墓参りに帰省。その新幹線の中で、読み切りました。短編小説なので、「あっ」というまですね。新神戸から福山ぐらいで読了。
 谷村(「僕」)は、二十歳の大学生。彼のバイト先の奇妙な友人、木樽(きたる)の話です。木樽は、田園調布の出身、でも、こてこての関西弁で話をします。一方、僕は、神戸の出身ですが、標準語を話します。なぜ、木樽が東京出身にもかかわらず、こてこての関西弁を話すのか?この奇妙な友人は、彼の幼馴染の彼女を僕に紹介します。なぜ。木樽が、自分の彼女を僕に紹介するのか?
 そして、木樽は、ビートルズの「イエスタデイ」を彼自身が訳して歌います。その歌詞には、どういう意味があるのか?僕には、奇妙な友人ですが、16年後に、木樽に紹介された彼女と再会して、木樽の「ほんと」を垣間見ることとなります。

村上春樹らしさ満載のシャイな短編小説です。今年は、文藝春秋に連載される(と思われる)この短編小説が楽しみですね。