「小暮写眞館 (上)(下)」

tetu-eng2014-01-12

「小暮写眞館 (上)(下)」
 宮部 みゆき
 講談社文庫
 (上)(下)2013年10月16日発行
 (上)700円 (下)800円 (税別)

 今年も、松が明けて、もう、成人の日がやってきます。40年前は、田舎を離れての学生生活だった。成人式のために帰省することもできないので、成人式には、出席していません。ただ、20歳の年を迎えただけで、特段の感慨もなかったような?もう、忘れてしまったのか?18歳の頃から、お酒も飲み、煙草も吸っていたので、改めて、どうのこうのはなかったのでしょう。でも、きっと、学生仲間で、コンパをやって、ばか騒ぎをしたには違いありません。

 花菱家は、秀夫・京子夫妻に高校一年生の英一(あだなは「花ちゃん」)と英一の八歳年下の弟の光(あだなは「ピカちゃん」)の4人暮らしです。花菱夫婦は、結婚20年を機に念願のマイホームを購入しました。このマイホームが、ちょっと(いや、かなり)、風変りだったのです。そのマイホームが、「小暮写眞館」。

『新居というのも、花菱家にとって新しい家だというだけで、家そのものは新しくない。築三十三年である。
「補強して修理すれば、いい家になるよ。まだまだ住めるよ」
ままよ、百歩譲ってそれはよしとしよう。だが、それでもしかし。
「土台とか柱とかの補修にお金がかかるからね、内装のリフォームは、最低限に抑えなくちゃならないんだ」
安心して住める我が家にするためだと、秀夫は言った。
「だから、母さんとも相談したんだけどさ、この家のお店の部分、そのまま残して使おうよ。ユニークで楽しいしさ」
花菱夫婦が買った初めての、そして生涯唯一になるであろうマイホームは、店舗付き住宅なのである。』

 物語は、この突拍子もないマイホームの購入から始まります。しかも、「小暮写眞館」の看板もそのまま、ショーウィンドウもそのままです。もちろん、写真館ですから、撮影スタジオには、カーテンロールの各種背景つき、現像のための暗室あり。「写真館」の「真」の字が「眞」であることが、この店舗の歴史を感じさせます。この写真館を舞台にして、上巻で2話、下巻で3話の短編連作の小説となっており、上巻は、英一が「心霊写真」の謎解きをするミステリータッチ、下巻は、花菱一家の涙、涙の家族愛と、英一と「小暮写眞館」を仲介した不動産屋の事務員垣本順子のちょっと不思議な恋愛のストリーで構成されています。上下2冊で、読み応え満載のこれぞ宮部みゆきさんの世界と言った小説でした。

 最近、虹を2回見ました。1回目は、昨年、30日、お墓参りのため帰省した途中、山陽新幹線の「厚狭(あさ)駅」から、見事につながった虹でした。2回目は、1月9日の昼過ぎ、六甲山の山裾に、これはつながっていませんでしたが、色があざやかでした。おもわず、拝んでしまいました。今年も、1年、無病息災を祈念して!