「海辺の小さな町」

tetu-eng2014-08-10

「海辺の小さな町」
宮城谷 昌光
朝日新聞社
1996年9月15日発行
1500円(税別)

 宮城谷昌光さんは、中国古代歴史小説の作家さんというイメージですが、宮城谷さんの作品では、珍しい現代小説です。むかし、「天空の舟」「夏姫春秋」「孟夏の太陽」など、随分と好んで読んだものです。ただし、中国の春秋戦国時代(紀元前700年ごろ)のお話ですから、まず、登場人物の名前が覚えられないので、何度も、読み返しながら、読み進みました。

 そうそう、同じような努力が必要な作品が、黒岩重吾さんの日本古代歴史小説。「落日の王子」「天翔ける白日」など蘇我入鹿大津皇子などが主人公でしたが、とにかく、登場人物の名前が、なかなか覚えられずに苦労しました。宮城谷さんの作品ほどではなかったですが・・・。
もう、この類(たぐい)の小説を読む気力がなくなりましたね。小説を読むのにも、体力と気力が必要です。

この小説は、写真をテーマにした小説です。

大学に入学して豊橋に向かうときに、父から渡された1台のカメラ。雄二のカメラとの出会いは、そこから始まりました。そして、このカメラには、父の入学祝とはべつに隠された秘密があったのです。雄二は、大学生活と下宿の同居人や周辺の人たちとの交際の中で、カメラに興味を持ち始め、やがては、雑誌に投稿するまでになります。
そうのうちに、豊橋でのカメラや写真にまつわる雄二にかかわる秘密に近づくことになるのです。小説ですから、カメラや写真の話だけではストーリ性に欠けるので、これは当然ですが、雄二にかかわる秘密について、ここで紹介しては、面白くないので、それは、読んでからのお楽しみです。

僕が、この小説で興味を持ったのは、カメラと写真です。

『「カメラにはフイルムしかはいっていない。写真はカメラのまえでできる。撮る者と撮られる者がいたとしても、それはかたちだけのことだ。撮る者も撮らされる者になり、撮られる者と撮らせる者になるときもある。いい写真は、こうして両手を拍って音が鳴るように生まれる。』

 なんだか、訳がわかりませんが、写真という表現物に、急に、興味を持った次第です。

 この本の前に、「好奇心ガール いま97歳」で100歳の報道写真家の本を読み、その前に「世界でいちばん長い写真」という小説を読んで、極めつけは、テレビでの「ルーズベルトゲーム」のイメージセンサーの開発のドラマでした。

 そこで、カメラにずぶの素人の僕は、コンパクトデジカメ、ミラーレスカメラ、一眼レフの勉強(たんにネットで検索して調べただけ)をして、珍しく、衝動買いではなく、いろいろと、研究・物色期間、おおむね1か月で、ついに、ついに、NikonのミラーレスカメラのJ3を手に入れたというわけです。

 さて、その結果が、被写体は、散歩で出会う雑草と僕の相棒(ダックスフンド)いうわけなのです。

 どうです、最近のブログの記事に変化がある理由が、ここで、明らかになったわけです。

 これから、このカメラで、芸術的な写真(?)をご紹介したいと思っています。