「Hello、CEO.」

tetu-eng2014-10-19

「Hello、CEO.」
幸田 真音
光文社文庫
2009年年9月20日発行
705円(税別)

幸田さんの小説を読むのは、お久しぶりです。

アメリカで債権デイラーなどを経験して、おおくの経済小説を書いている作家さんです。金融のことなど、ビジネス書を読むより、分かり易くて、雑学の勉強になっていました。

 この小説も、その類かな、と思っていたら、幸田さんも、ずいぶんとお変わりになったようです。これじゃ、経済小説と言うより、青春小説に近くなっています。小説の内容も、これと言って、目新しい内容に乏しく、雑学の勉強にはなりませんでした。

残念ですが、この類の小説ならば、もっと多くの作家さんがいます。政府税調の委員まで務められているのだから、もっと、専門的な内容を書いて欲しかったですね。

ストーリーは、きわめて、簡単。外資系カード会社をリストラされた青年が、起業するという内容です。その起業の内容とは、投資家と企業家をネット上で結びつける、いわば「起業お見合いコンサルタント」とでも言えばいいのでしょうか。

『 「いわゆる『エンジェル』と呼ばれるような個人投資家、つまりは富裕な個人資産家を相手にしたビジネスなんだよな。かたや、資金を必要としている側は、机上プランの段階の起業家志向の人間だ。そうした人間に、自分のビジネス・プランとか、ビジネス・モデルをインターネット上でプレゼンさせて、それを見たエンジェルから資金を出させる」
「・・・・ベンチャーの卵と個人投資家のお見合いをセッテイングする仲人(マッチメーカー)になるってわけよ」』

こりゃ、いいかも、と思った人。

この小説の発行当時は、こういったビジネスは、少なかったかもしれませんが、今は、かなりメジャーになってきています。ので、今から、始めようと思っても後発組になるので、ご注意ください。

このビジネスに似ていますが、投資と言うよりも、起業を応援するサイトがあります。たとえば、僕が、ときどき見ているのは、「READYFOR」というクラウドファンデイングのサイトです。興味がある方は、ごらんになって下さい。

そういえば、僕も、昔、「山っ気」があったころ、有限会社を設立しましたね。出資金を集めて、銀行との払い込み証明の手続きをして、定款を作り、公証人役場で公証を受けて、法務局で法人登記する。その時は、「有限会社の作り方」というカッパブックスを頼りに、日本法令の書式集を買って、豆にやったものです。今は、もう、そんな気力はないですね。

って言うか、これからの人生を、面白く過ごすには、何か、起業して・・・・なんちゃって!また、損するだけですよね。