「限界集落株式会社」

tetu-eng2015-03-29

限界集落株式会社
星野伸一
小学館文庫
2015年1月13日第9刷
714円(税抜)

『「もちとうもろこし?」
「おれがガキの頃は、夏によく焼きとうもろこしを食った。今出回っているスイートコーンじゃないぞ。あれを焼いても、うまくはない。もちとうもろこしと呼ばれている品種を使ったんだ」
もちとうもろこしは、噛むほどに歯に挟まり、食べづらいことはなはだしいが、正登にとっては世界中で一番美味しい食べ物だった。
もちとうもろこしは、いつの間にか市場から姿を消し、代わりにお目見えしたのがハニーバンダムという品種だ。果実のように口の中で弾ける甘い粒から、ハニーと命名されたのだろう。もちとうもろこしのように、歯に挟まらず、粒も大きく分離し易い。』

知っていましたか?「もちとうもろこし」。僕は、知りませんでした。そもそも、子供の頃に「とうもろこし」なんぞ食べたことがありませんでした。子供の頃に食べたのは、「りんご」か「みかん」でしょう。たまに、山に入って、「野いちご」、「あけび」、「いちじく」などですか?

そもそも、歯に挟まる「とうもろこし」は苦手ですね。特に、前歯が差し歯なので、歯にダメージを与える食べ物は、御法度です。馬齢を重ねると、何かと不自由なものです。細君は、「とうもろこし」が好きなようで、よく、蒸して食べていますが、僕は、さっぱりですね。細君は、生まれ関東だからでしょうか?

限界集落株式会社」、もう、放送終了となりましたが、NHK土曜ドラマの原作です。

限界集落」とは、過疎化・高齢化が進展して行く中で、経済的・社会的な共同生活の維持が難しくなり、社会単位としての存続が危ぶまれている集落をいう。

「テレビもねえ ラジオもねえ 自動車もそれほどはしってねえ」って歌詞の歌が、昔、流行っていましたが、流石に、そんなところはないでしょう。学校もねえ、郵便局もねえ、病院もねえ、バスもねえ、もちろんコンビニはねえ、となると社会的な生活困難地域となってしまいますよね。そこで、安倍内閣のひとつの看板である「地方創生」が重要な政策となるのですが、あまり進展は聞こえてきませんね。

東京のIT企業で、名を馳せた多岐川優は、充電のために父の故郷である田舎にBMWを走らせながら、戻ってきました。この田舎、まさに「限界集落」なのです。そこで、彼は、農業を活性化することにより、この田舎を再生させようと動き出します。農業なんて、ど素人の優、彼をサポートする美穂。さて、どんな奇策があるのでしょうか?

『自然と共生しながら作物を育てるのが、百姓の本懐であることは言うまでもない。化学肥料は、長期的に見れば土地の生産量の低下や、土壌の流出をもたらす。農薬の中には分解されにくく、環境や人体への蓄積を懸念されるものもある。良心的な生産者なら、そんなリスクのあるものは、やはり使うのは控えるべきだ。
美穂も以前は有機農法を意識的に否定していた。だから優に、この農法をやれと言われた時はヒステリックに反発した。その美穂が今や、有機農法にのめり込んでいる。減農薬をやっていると、やはり行きつく先は有機になるだろう。いつも美穂は正登の一歩先を歩んでいる。彼女こそ正に、生粋の百姓だ。』

日本は、食糧自給率が、40%程度と言われていますが、それは、消費者の自給率であり、つまり、生産者の段階で食べられるのに廃棄される食糧があるということです。形が悪い、それだけで、消費者の手に届かない。実は、いちごは、形がいびつなものほど、糖度が高く、美味しいそうです。

農業の活性化には、消費者の意識改革が必要なのでしょうか?僕を含めて!