「消える上海レディ」

tetu-eng2015-04-19

「消える上海レディ」
島田荘司
角川文庫
平成11年4月25日改訂版初版
495円(税別)

やれやれ、先週は、腰、肩、首筋とハリを強く感じて、「ナボリンS」(エーザイ)を服用したり、サロンパスを貼ったり、ストレッチを頑張ったりして、漸く、なんとか、復調したと思ったら、今度は、右膝内側痛でソロリソロリ歩き状態です。特に、階段の上り下りに支障があります。

首筋のハリは、ぼくの持病のようなもので、ときどき、発症するので対症療法は、いろいろ、慣れたものですが、膝は、あまり経験がないので、ちょいと、戸惑っています。とりあえず、膝周りにサロンパスを貼りまくっています。たぶん、膝の健が炎症を起こしているのでしょう。2〜3日もすれば治るといいのですが?

毎度のことですが、馬齢を重ねたということは、何かしら、身体の不調を感じるということなのでしょう。ウォーキングは、ぼくの日課のひとつなので、足の故障は、ちーと、つらいですね。まあ、安静が一番なのでしょうけれど・・・・。

さて、「消える上海レディ」って、タイトルが素敵ですね。タイトルを読んだだけで、チャイナドレスの美女が主役と想像できます。初版発行は昭和62年なので、30年前のミステリー小説です。ミステリー小説は、あまり読みませんが、島田荘司さんは、ミステリー小説の大御所です。今も、ミステリー通には、人気のある作家さんですね。

『林翠玲(りんすいれい)は、ビング・クロスビーが甘く歌う「ドゥ・プリーズ」の旋律が流れるブロードウェイ・マンションを出た。外白渡橋(ガーデン・ブリッジ)を渡り、一人外灘(バンド)へ向かう。』

外白渡橋(ガーデン・ブリッジ)、外灘(バンド)って、ぼくは、子供の頃から、聞き覚えがあります。死んだ親爺が、戦前、上海に居たので、その頃の話をすると、必ず、出てくる名前でした。(ガーデン・ブリッジ)(バンド)、何となく、ハイカラなイメージでした。戦前の上海は、東洋一のハイカラな街だったようです。

『衣裳は、ブルーのチャイナ・ドレスだった。そしてブルーのハイヒール、シーム入りの絹のストッキング、それに毛皮のコート。この国の女たちが、たとえ幾晩男たちに身体を与えようとも、決して手に入れることのできない高価ないでたちだった。』

これが、謎の上海レディ。

女性誌記者の弓芙子(ゆうこ)は、取材で、神戸−上海を結ぶ「鑑真号」に乗船することとなり、その前取材のため、東京のデパートで開催されている上海写真展に出かけました。そこで、初めて、上海レディを目撃します。なお、「鑑真号」は、現在も、神戸−上海間を定期就航しているようです。

弓芙子は、「鑑真号」に乗船するため、神戸に行き、神戸の異人館なども取材しますが、ここでも、「うろこの家」で上海レディに出くわします。そして、「鑑真号」に乗船。またまた、派手な出で立ちの上海レディを見かけます。

そして、事件は、「鑑真号」で起こります。ミステリー小説ですから、事件は、殺人事件です。弓芙子の同僚のカメラマンが密室の船内で殺害されたのです。そして、弓芙子も、何者かに襲われますが、その都度、上海レディの影がちらつきます。

『赤いカーペットを踏みながら、上海レディがメイン・ロビーの手前を歩いていた。Aデッキの貴賓室や、特別室へ向かう廊下だった。
青いベイズリー柄のチャイナ・ドレスや、つば広の帽子、青いパンプスなどが見えたのは、ほんの一瞬にすぎなかった。形の良い膝から下の脚線を見せながら、上海レディは大股に歩いて、たちまちガラス張りのスペースを歩み去った。Aデッキの方角に消えた。
「上海レディ・・・・」
そう思わず弓芙子はつぶやいた。』

そうして、最後の舞台は、いよいよ、上海・・・・・です。