「フェルメールの暗号」

tetu-eng2015-10-25

フェルメールの暗号」
ブルー・バリエット 種田紫=訳
ヴィレッジブックス
2009年4月20日第1刷

何年前だろうか?

いや、調べてみたら15年前、2000年の年でした。

フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」(「青いターバンの少女」)が、天王寺の大阪私立美術館に来日したとき、細君と観覧に行きました。

縦横50センチぐらいの小さな絵の前は、大変な人だかりで、順番に並んで、立ち止まることもできずに、少女との謁見は、わずかな時間でした。そのときに、購入した「フェルメールとその時代展」図録は、ぼくの本箱に鎮座しています。

天王寺に行ったのは、そのときが初めてで、ついでに、通天閣や「じゃんじゃん横丁」などをフラフラと見物しました。その頃のこの界隈は、あまり品のよいところではなく、昼間から、串カツ屋さんに屯しているおじさんたちは、いい陽気でお酒を飲んでいました。

そんな「じゃんじゃん横丁」は、細君と逃げるように通り抜けた記憶があります。が、今は、すっかり、往年の品の悪さが払拭されて、お品もよろしく観光化されちゃいました。屯していたおじさんたちは、行き場を失って、どうしたのでしょうか?

フェルメールから話がとんだ方向に行ってしまいましたが、この小説、タイトルのとおり、日本人の大好きなフェルメールの絵画をモチーフにした作品です。

ワシントンからシカゴに輸送中のフェルメールの「手紙を書く女」が、何者かによって盗まれ、人類の至宝ともいわれるフェルメールの絵画の災難は、アメリカだけではなく、全世界に衝撃を与えます。

美術館と本が大好きな女の子ペトラ、暗号やパズル好きの男の子コールダーの2人は、何故か、フェルメールとのつながりを意識し、この盗難事件に興味を持ちはじめます。そして、この少年少女探偵さんは、盗まれた「手紙を書く女」が隠された場所を探し始めるのです。

『コールダーは、フェルメールの作品をいくつか見た。窓辺にいる人物を描いたものがほとんどだった。<地理学者>に描かれていたじゅうたんは、ほかの作品にも数多く登場し、黄色いガウンも複数の作品に描かれていた。フェルメールの絵を見ていると、他人の私生活をのぞき見しているような気分になってくる。窓から差しこむ光のせいで、ありふれたものが特別な意味を持っているように見える――――羽ペン、ミルクの入った水差し、イヤリング、イスについている真鍮のボタン。
フェルメールは極貧のうちに、四十代で亡くなっていた。どんな生涯を送ったかについては、ほとんどわかっていなかった。
フェルメールほどの天才が、なぜ三十五作品しか描かなかったのか?作品のモデルは誰なのか?どうしてあのような小道具を描いたのか?誰に絵を習ったのか?フェルメールという画家は謎に包まれている。』

この本を読んで、「フェルメールとその時代展」図録を見直してみると、うむ、フェルメールの絵に描かれている小道具って、ほとんど同じですね。やや、ビックリ!

『芸術とは、真実を教えてくれる嘘である』byピカソ