「任侠学園」

tetu-eng2016-04-24

「任侠学園」
今野 敏
中央文庫
2015年11月30日第8刷

1週間が過ぎるのが早すぎです。もう、「読書雑感」を書いていますよ。

はなから、ぼくの愚痴です。

なんでこんな具合になったのか?この症状、判れば苦労はしませんが、いつもの不安症なのかな?春先だからですかね?

先週の中頃から、何か変なんですよね。ボーとした感じ、いや、イライラした感じ、いや、モヤッとした感じ・・・・書いて説明しにくい「心の風邪」ですかね。細君は、そんなに、悪くないんじゃないって言ってますが、ぼくは、何か変なんですよ。

腰の具合が、漸く、改善してきたら、いままで、腰に意識が集中していたのが、今度は、心に意識が集中してしまいました。ぼくは、自分で、不調を探しているようです。

そうそう、お医者さんにこんなことを言われました。「あなたは、小さな気がかりを、顕微鏡で大きくしている。」うむ、判るような気がするが、こりゃ、性格ですかね。ケセラセラとならないのよね。

「任侠学園」は、今野敏の任侠シリーズの第二弾です。第一弾は、「任侠書房」、第三弾は、「任侠病院」。いずれも、人気シリーズのようです。

『阿岐本(あきもと)組は東京下町のちっぽけな組だ。若い衆を四人抱えているに過ぎない。その小さな組が広域暴力団の傘下にも入らず、ほそぼそとだが生き延びていられるのは、ひとえに阿岐本の顔の広さと情報収集力、そして人望のなせる業だろう。』

阿岐本組の阿岐本雄造は、文化的事業に興味津々なところが、代貸を努める日村誠司にとっては、頭痛の種です。組長から任侠の道を叩き込まれた日村は、小さな組のやり繰りだけでも手一杯にもかかわらず、親(組長)の言うことには、絶対に逆らえません。ついに、井の頭学園・高校の経営に乗り出すこととなります。

『「俺はさ、しがねえヤクザ者だ。お国のことをどうこう言えるほどの人間じゃねえ。このちっちゃなシマのことだけ考えてりゃいいんだよ。それはよーくわかってる。でもね、子供や若いやつらをまっとうに育てるっていうのは大切なことなんだよ。教育ってのは大切なんだ。それが今おかしくなっちまってる」
言いたいことはわかる。だが、だからといって、自分たちが学校の運営に手を出して何かできるとも思えない。日村はじっと頭を垂れて話を聞きながら、密かにそう思っていた。
だが、オヤジを止められる者はもういない。それも確かだった。』

という経緯(いきさつ)で、阿岐本雄造は、理事長として、日村誠司以下若い衆が、理事として、井の頭学園・高校に乗り込みます・・・が、この学校のあれた様に、さすがのヤクザもビックリです。しかし、親の言いつけは絶対なのが、任侠の世界、日村は、懸命に、生徒の躾に奔走します。ヤクザほど躾に厳しい世界はない。この論理が、生徒たちに通用するのか。

『「「割れ窓理論」というのをご存じですかな?」
「知っています。犯罪学か何かの話ですね。微罪を放置しておくと、いつかはそれが重大な犯罪に結びつくという」
「そう。割れた窓を放っておくと、いずれそれがスラム化して犯罪の巣になるのです。荒れる芽は早いうちに摘み取らなければならない。校門の脇や校舎の落書きもそうです」
おやじも妙なことを知っているものだと、日村は密かに感心した。』

ちょい読みには、とても、おもしろいです。ヤクザが、学校を経営したらこうなるって、シリーズの「任侠書房」「任侠病院」もどうなるのか、興味がありますね。