「ガソリン生活」
伊坂 幸太郎
朝日文庫
2016年3月30日第1刷
先週、雨の大阪に遊びに行って、もう、1週間が過ぎました。
大阪は、難波パークス、難波シティでウィンドウショッピング(ちょっと買い物も!)、それから、雨の戎橋筋から法善寺横丁、心斎橋筋、御堂筋をブウラブウラ。おまけに、堀江(若者向けのファッションタウン)に寄って、おしゃれなカフェで、ちょいと、休憩でした。
今更ですが、やはり、大阪は神戸と比較できないほど、人が多いですね。それに、外国のお客様が2割ぐらいかな?神戸は、明治以降の街、大阪は江戸以降の街、大阪の方が、江戸情緒も残っていて、街の趣に幅があるように感じます。
千葉に住んでいるときは、ときどき、銀座に出かけたりしていましたが、時間的には、神戸から大阪に出かけるのも同じぐらいですが、なぜか、大阪は遠く感じます。千葉から東京へは、通勤していたので、その所為はあるのでしょう。大阪は、出張で、出かけるぐらいなので、どうしても、馴染みが薄いのでしょう。
はい、と言うことで、「読書雑感」です。
久しぶりの伊坂幸太郎ワールドでした。
主役は、望月家の「緑のマツダデミオ」。そうです、車が主役なのです。なぜ、車が主役なのか?これが、伊坂ワールドなのです。ファンタジックな世界、ミステリーな世界、ファミリーな世界そしてラブコメの世界が「ガソリン生活」に満載されています。
『燃料を燃やし、ピストンを上下させ、車輪を回転させて走行する、あの躍動感こそが生きている実感であるから、路上を走るのはもちろん痛快な時間だ。
その一方で、エンジンが停止し、路上を走るのはもちろん痛快な時間だ。
隣にほかの車がいれば会話を交わし、社会事情について情報交換ができるし、もし自分一台きりであったとしても、静かにまわりを眺め、思いを巡らせることができる。』
ぼくの愛車がこんなことを考えていたら、傑作でしょう。この小説を読んで、何となく、愛車に乗るときに「よっ!元気か?」なんて声をかけてしまうのは変ですか?
望月家は、母親の郁子さんと長男の二十歳になる大学生の良夫くん、そして十歳ですがちょいと大人びてコナン君みたいな亨くんの三人家族です。おっと、あと「緑のマツダデミオ」。
あるとき、良夫くんと亨くんがパーキングに駐車していると、突然、女優の荒木翠が「緑のマツダデミオ」に飛び乗ってきました。誰かに追われているのか?そのまま、荒木翠の指示どおり、車を走らせて、指定の場所で彼女を降ろしましたが、その後、彼女が、事故に巻き込まれて亡くなってしまいます。
物語は、ここから始まりますが、荒木翠の死には隠された謎が・・・この謎を巡って、三人の家族と「緑のマツダデミオ」の冒険が始まるのです。
この小説で、よく出てくるのが、フランク・ザッパの名言ですが、フランク・ザッパって誰れ?調べてみました。アメリカのカリスマ的なシンガーソングライターらしいです。洋楽には、まったく疎いぼくには、その人のすごさが判りませんが、「すっごい人」らしいです。
『「俺たちは金のためだけにやっている」とうのが、フランク・ザッパのサードアルバムのタイトルなんだけどな、でもな、実際、人間が働くのは金のためだけでない』