「訪問者」

tetu-eng2016-09-25

「訪問者」 
恩田 陸
祥伝社文庫
平成24年4月20日第1刷

ぼくは、「寝ても覚めても本の虫」(児玉清の本のタイトル)ほどの本好きではない。一日のうち、本を読む時間は、1時間ぐらい。通勤の電車の座席(ぼくは、本を読むために座れる電車に乗る)、就寝前のベッドが、ぼくの読書タイムであり、読書の場所。でも、電車では、すぐ寝てしまい、ベッドでも、長くは続かない。

そのうえ、読むスピードは、左程、早くはない。しかも、2〜3冊、併行して読んでいる。例えば、小説に疲れるとエッセーや文藝春秋を読む。だから、1冊を読むのに、1週間から10日ぐらいかかる。毎週、「読書雑感」を書くには、ちょうどいい。

本がたまるでしょう、と、よく言われる。本箱、机の周りには、500冊ぐらいの本がある。リビングの本棚などを含めると1000冊ぐらいの本がある。読んだ本、読んでない本、これから読む本、売れ残った本などなどである。

基本的には、読んだ本は、ヤフー・オークションで売りに出す。だから、家にある本は、売れ残りの本である。もう一度読もうと思って、読んだことのある本はそんなにはない。あとは、切手集めと同じで、本を集めているのかな?

そうそう、本は、中身もさることながら、装丁やカバーに着目すると、なかなか、おもしろいことを発見する。装丁やカバーのデザインが気に入って、買うこともある。本を売るために、これも、重要なアイテムなのだ。

たとえば、「訪問者」のカバーのデザインは、シンプルで、なかなか、いい感じである。デザインとして、英文字が使われているが、読んでみると、この小説の章ごとのタイトルが表記されていました。

『THE VISITOR by Riku Onda
Life Story
THE PINK GIRAFFE
The Little House
Faithful Elephants
Rain Drop
The gigantic turnip』

お暇な方は、訳してみて下さい。

「訪問者」の各章の書き出しは、「来客を告げるベルがなった。」です。舞台は、山の中の湖畔に立つ洋館。洋館には、5人の兄弟姉妹と家政婦さんが住んでいます。最初の訪問者は、雑誌記者とカメラマン。それから、次々と「ベル」がなって、新たな訪問者がやってきます。

「訪問者に気をつけろ」という警告状。誰が、気をつける訪問者なのか?なにに気をつけるのか?恩田陸のミステリー・サスペンス小説です。なんだか、むかし、ヒッチコックの映画で観たようなストリーですが、まあ、結末を予想しながら楽しめる内容かと思います。

『見知らぬ誰かはいつも不意に訪れる。予期せぬ形で、想いもよらぬ時刻に。
ある日突然、訪問者を告げるベルが鳴る。彼らは何気なく立ち上がり、廊下の先のドアを開けるために歩いていく。彼らを待ち受ける次の運命に出会うために。』