「ビブリア古書堂の事件手帖 7 」

tetu-eng2017-04-30

ビブリア古書堂の事件手帖 7 」 
三上 延
2017年2月25日第1刷発行
メディアワークス文庫

ついに、ビブリア古書堂の最終章です。第1巻が2011年だったので、6年越しの連続事件手帖です。ほぼ、1年に1巻の発刊ペースですが、第6巻から第7巻までは、2年ぐらい開きましたかね。第7巻で完結であるという予告は出ていましたが、随分と待たされたものです。

ビブリア古書堂の店主篠川栞子(しのかわしおりこ)とアルバイト五浦大輔(ごうらだいすけ)の古書を巡る謎解きの物語。最終章は、劇作家ウイリアムシェイクスピアの古書がターゲットです。

明治十九年に発行されたシェイクスピアの戯曲。出版社は鶴鳴堂。翻訳人は井上勤。タイトルは「人肉質入裁判」。さて、戯曲の題名は???はい、「ヴェニスの商人」です。しかし、明治十九年に、すでに、「ヴェニスの商人」が翻訳されて出版されていたということが驚きです。

余談ですが、日本人が中学・高校と6年間も英語教育を受けて、英語が苦手な理由は?それは、翻訳本を読むことにより、英語を必要としないかららしいです。日本語は、語彙が豊富であること、日本の翻訳技術が非常に高度であること、そのため、学術書であれ、文芸書であれ、様々な翻訳本が発行されているためらしいです。

シェイクスピアは、1564年にイングランドで生まれ、16世紀末から17世紀初頭にかけてロンドンで劇作家として活動していました。1616年に五十二歳で亡くなっています。日本では、1600年が関ヶ原の戦いですから、安土・桃山時代から江戸時代初期です。没年は、徳川家康と同じです。

『「ファースト・フォリオ、ってなんですか?」
シェイクスピアの戯曲を集めた最初の作品集です。フォリオというのは二つ折り本という意味で、一枚の紙を二つ折りにした判型の本ということです。」
「ファーストっていうことは、セカンドもあったりするんですか?」
「セカンド・フォリオが1632年、サード・フォリオが1663年、フォース・フォリオが1685年に出ています。」
「数はどれくらい出てるんですか?そのファースト・フォリオって」
「発行部数は750部程度と言われていて、現存が確認されているのは二百数十部です。」
「もし見つかったら、いくらぐらいになるんですか?」
「もちろん状態にもよりますが・・・2006年にサザンビーズでオークションにかけられた一冊は、当時の日本円にして約六億円で落札されました」』

約六億円って、凄すぎます。本ですよね。しかも、活版印刷の本ですよね。シェイクスピアの直筆原稿じゃないですよね。絵画骨董などは、何十億円というのは、よく聞きますが、本では、世界最高の高額本かも?

ビブリア古書堂の事件手帖」の最終章は、随分と張り込みました。このシェイクスピアのファースト・フォリオを巡って、栞子と大輔が奮闘します。結構、ミステリアスな展開もありですね。

今週は、ぼくの好きなシリーズの完結で、余談はなしでした。