「オロロ畑でつかまえて」

tetu-eng2017-05-07

「オロロ畑でつかまえて」 
荻原 浩
2016年9月13日第21刷発行
集英社文庫

今年のGWは、終わりです。先日の某新聞の記事「GWはいらない」。なぜならば、観光地に人が集中し、電車も、高速道路も、飛行機も、混雑する。おまけに、GW価格で、宿泊代なども高い。GWを廃止して、休日を分散すれば、時間軸で自然と人も分散される。そして、連休にするために年休を取得する。働き方改革につながる。

一つの見識だと思う。祝日に関する法律でGWやSWを国家権力が作り出すのは、自由権の侵害である。国民は、休日が飛び石であれば、年休を取って連休を作り出して、好きな時期に、自分だけのGWやSWを創造する。すると、観光地は、平準化した観光客を受け入れることができ、余分な投資をする必要はない。

なんて、屁理屈をノタマウノハ、GWに何の予定もなく、自宅と自宅周辺をグタグタしていた、ぼくの世の中に対する「ひがみ」「ねたみ」にしか過ぎない。あ〜、嫌な性格だと自分を卑下しながら今年のGWが終わりました。

もう一つ煮え切らないのが、4本目のウクレレ。センター街の島野楽器で、いい物件を見つけました。一つは、Kaalaのコンサートウクレレ。すごく綺麗な物件です。もう一つは、なんと「フジゲン」のコンサートウクレレ。これは、今週入荷したそうです。物件としては、kaalaの方の材質がいいようです。(値段もいいけど)この二つの物件を巡って、ぼくの悩みは深まる一方です。


余談は以上です。

荻原浩さんが「海の見える理髪店」で直木賞を受賞したので、荻原さんの旧作が増刷されました。「オロロ畑でつかまえて」は、2001年に発行されているので、16年まえですね。荻原さんがデビューして、間もないころです。ぼくも、荻原ブームに遅れることがないように、未読だった荻原作品の原点に触れてみました。

超過疎化の牛穴村。村の活性化のために八人の青年会が立ち上がる。青年会のパートナーは小さな広告代理店のユニバーサル広告社。社長の石井、クリエイティブ・ディレクターの杉山、アート・ディレクターの村崎、アルバイトの猪熊の4人の広告社です。杉山が提案した牛穴村の活性化のための起死回生の一発は?

『「ウシアナザウルス、出現。」
「幾億年の時を超えて、龍神沼に太古の恐竜が蘇る」云々の言葉が並んでいる。村崎が描いた湖面から首をもたげた恐竜の絵もついていた。八人の男たちの間に戸惑いのざわめきが広がる。ざわざわ。
「ウマか?」
「いやキリンだべ」
「タコの足でねか」
今度は村崎が傷ついた顔をした。杉山はゆっくり息を吐く。
「いえ、恐竜です。億万年もの昔から龍神沼に棲んでいた恐竜が、姿を現すのです」
ざわざわざわ。
「・・・・あのぉ、そのザウルスは、どっこから連れてくるだ?」
「我々が出現させます」』

ここから、牛穴村の龍神湖には、多くの報道陣、観光客が押し寄せて大騒動が始まります。しかし、嘘はいけません。嘘は、やがて白日の下にさらされます。しかし、「オロロ畑」にとんでもないものが居たのです。

荻原浩さんのユーモア小説の真骨頂です。