「君の膵臓を食べたい」

tetu-eng2017-08-20

「君の膵臓を食べたい」
住野 よる
2017年4月30日第1刷発行
双葉文庫

関東と関西で、随分と天候が違うようです。8月に入ってから、関東は、毎日、雨が降っているらしいです。そのため、気温が低く農作物にも影響が出ているようです。夏なのに暑くない。そうすると、エアコンが売れない。夏物衣料が売れない。海水浴場が閑古鳥。

あっ、思い出しました。今から、45年前の話です。ぼくが、大学1年の頃、海の家でアルバイトをしていました。住み込み、食事つきで、1日いくらだったろうか?1000円は貰わなかったと思います。その夏が記録的な冷夏で、まさしく、閑古鳥。バイト料を貰うのが申し訳なかったという記憶です。

余談でしたが、そういうわけで、冷夏は景気に悪影響を与えます。おまけに、アメリカと北朝鮮が丁々発止の子供の喧嘩状態。地勢的リスクのある日本も巻き込まれそうです。北朝鮮の発表では、「大陸間弾道弾をグアム沖に打ち込む。そのとき、島根、広島、高知の上空を通過する。」とのことらしいです。

うむ、愛媛はどうなるのかな?北朝鮮では、愛媛をご存じないのか?ってな、つまらない突っ込みは緊張感を欠いた言動であり、撤回します。と、国会議員なら陳謝です。さらに、忘れてはならないのが、九州地方を襲った大水害。被災者お皆様には、一日でも早い、復興をお祈りします。

そんなこんなで、どうも、ピリッとしない2017年の夏です。

『「君の膵臓を食べたい」
学校の図書室の書庫。ほこりっぽい空間で本棚に並べられた書籍達の順番が正しいものか確認するという。図書委員としての任務を忠実にこなしている最中に、山内桜良がおかしな告白をしてきた。
無視しようかと思ったけど、この空間にいるのは僕と彼女だけで、ひとり言というにはあまりに猟奇的なそれは、やっぱり僕に向けられているんだろう。
仕方なく、背中合わせに本棚を見ているはずの彼女に反応してあげる。
「いきなりカニバリズムに目覚めたの?」』

衝撃的なタイトル。2016年の本屋大賞第2位の小説です。このタイトルの本に読者が食いつくか?どうか?作家と出版社の担当編集者は、賭けだったと思います。結果は、見事に食いついたようです。
このタイトルであれば、サスペンスか?スリラーか?と思うのが、一般的でしょう。ところが、どっこい、種を明かすと、青春恋愛小説なのです。ありゃま!ビックリです。

膵臓に重い病を持って余命1年を宣告された桜良。小説が好きで友だち作りができない僕。僕と桜良は、高校2年生の同級生。クラスも同じクラス。でも、話をしたこともない。クラスで、僕と話をしたことがあるのは誰だっけ?
それは、偶然でした。僕は、病院の待合室で、忘れ物の桜良の「共病日記」を目にしたのです。それから、僕は、【秘密を知っているクラスメイト】になりました。

『「君にとって、生きるっていうのは、どういうこと?」
彼女は、「うっわ〜、真面目かよ」と茶化した後、真剣な顔をして空を見つめて考えてくれた。「生きる。か」と彼女が呟く。
「生きるってのはね」
「・・・・・・・」
「きっと誰かと心を通わせること。そのものを指して、生きるって呼ぶんだよ」
命の湧きたつ音がした。』