「ナミヤ雑貨店の奇蹟」

tetu-eng2017-11-19

「ナミヤ雑貨店の奇蹟」
東野 圭吾
平成29年9月5日第34版
角川文庫

今年も、新潟の友人から新米が送られてきた。毎年の恒例です。彼と会ったのは、もう、7〜8年前ごろになると思う。彼が、大阪に出張で来たときに梅田で飲んだ記憶がある。彼とは、大学時代、同じ研究室で切磋琢磨した仲であるが、二人とも、夢半ばで、それぞれの道を歩んできた。

お礼の電話をすると、昔と変わらない声が返ってくる。そのとき、時が45年前にタイムスリップするようです。彼が、毎度、饒舌に話すのが、倉敷・児島にある藤戸神社の由来である。なぜ、新潟の友人が倉敷の話をするのかというと、新発田にも藤戸神社があるそうです。そもそも、藤戸神社というのは佐々木盛綱に由来しているらしいです。佐々木盛綱が誰かって?まあ、ネットで調べてもらうといいですね

彼は、その佐々木盛綱に興味があるらしく、いろいろ調べているとのこと。そこで、倉敷・児島の「藤戸の戦い」という古戦場を知ったとのこと。どうも、この戦いは、謡曲にもなっている有名なくだりらしいです。来年のこの季節までには、倉敷・児島の藤戸神社を訪ねて、話を盛り上げなくては思っています。

ぼくからの新米へのお返しは、兵庫の酒「百黙」。「百黙」は、菊正宗が新しく立ち上げたブランドで、まだ、兵庫県内でしか販売していないらしいです。なんて、薀蓄を彼にメールで送ると、いたく感激されて恐縮の至りでした。そんな仲の友人ですが、残念ながら、新潟と神戸という距離に阻まれているため、生きているうちに会うことができるか、・・・いや、そのうち万代橋付近で再開するのが希望ですね。

ながながとした余談でしたが、「ナミヤ雑貨店の奇蹟」。これは、ファンタジックな小説です。一言で言えば、「面白い」。おすすめします。

時を越えた悩み相談窓口の「ナミヤ雑貨店」。持ち込まれる相談に店主の浪矢が返事をする。ストーリーは単純なのですが、この相談と返事が、時空の垣根を越えて、とんでもない現象を生じさせます。なにが、とんでもないかは、読んでのお楽しみです。

あるとき、白紙の相談があります。浪矢の返事は、次の通りです。

『私のところへ悩みの相談を持ち込んでくる方を迷子に喩えますと、多くの場合は地図を持っているが見ようとしない、あるいは自分のいる位置がわからない、という状態です。
でもおそらくあなたは、そのどちらでもないですね。あなたの地図は、まだ白紙なのです。だから目的地を決めようにも、道がどこにあるかさえもわからないという状況なのでしょう。
地図が白紙では困って当然です。誰だって途方に暮れます。
だけど見方を変えてみてください。白紙なのだから、どんな地図だって描けます。すべてがあなた次第なのです。何もかもが自由で、可能性は無限に広がっています。これは素晴らしいことです。どうか自分を信じて、その人生を悔いなく燃やし尽くされることを心より祈っております。』

すばらしい悩み相談の返事ですね。ぼくの悩みも、「ナミヤ雑貨店」に出したいのですが、「ナミヤ雑貨店」の場所も住所も知らないので、どうしましょう。いや、悩みの相談をする人は、すでに地図を持っているのです。その地図の行き先まで、ちょっと、後押ししてあげればいいだけなのです。悩みは、書いているうちに、解決方法を暗示してくれます。うむ、まるで、カウンセリングみたいですね。解決方法は、自分の中に内在している。それに気づくことが大切です。