「小袖日記」

tetu-eng2017-12-03

「小袖日記」
柴田よしき
2011年3月1日第5刷
文春文庫

2017年(平成29年)も、早くも、師走を迎えました。みなさま、この1年間を健やかに過ごされましたか?まだ、1年を振り返るには早いかもしれませんが、昔と比べると、世の中の動きが、早いように思います。例えば、クリスマスツリーの飾りつけなど、11月中ごろには、あちらこちらに見られます。

イベントが大規模になってきているためか、設営準備に時間がかかるためでしょうか?なんだか、時の流れがせっつかれているようで、忙(せわ)しなく感じます。もっと、時の流れは、ゆっくり、ゆっくり、でいいんじゃないでしょうか?

余談ですが、歳をとると、なぜ、時間が早く過ぎるか?という疑問をお持ちではないですか?歳をとると新しい経験をしなくなるため、時間を早く感じるという説があります。確かに、知らない道を歩くと、行きは長く感じて、帰りは早く感じます。したがって、この説も正しいのでしょう。

もう一つ、細胞学的見地から・・・むむ、難しくなってきたぞ。細胞を構成するタンパク質の代謝が遅くなるため、体内時計は、1年の感じ方が長くなりますが、物理的な時間は同じスピードです。すなわち、実際の時間の経過に、自分の生命の回転速度がついていけていない、そのため、1年の感じ方が早くなる・・・・むむ、理解できたかな(参照:「動的平衡福岡伸一著)。

ノーベル文学賞受賞者の純文学の読書雑感が続いたので、少し、頭を休めるため、・・・と言ってしまうと、柴田よしきさんに失礼ですが、またしても、書棚に積んであった未読の「小袖日記」を読みました。書棚に積んである未読の本が、どのくらいあるかというと、100冊ぐらいはあるらしいです。書棚だけではなく、机の下にも積まれています。面白そうな新刊本が出れば、そちらが優先されるので、在庫の本が陽の目をみるのは、時間がかかりそうです。

なぜ、「小袖日記」を購入したのか、不明ですが、たぶん、おそらく、「源氏物語」と関連した内容であり、当時、「源氏物語」の現代語訳を読んでいたので、興味を持ったのではないでしょうか?あくまで、推測。話は変わりますが、宇治に「源氏物語ミュージアム」があるのはご存知ですか?なかなか、いいミュージアムなので、一度、訪ねられてはいかがでしょうか。

主人公のあたしは、ある日、雷に打たれて、平安時代にタイムスリップ。タイムスリップというよりは、小袖という女官と入れ替わってしまいます。目が覚めると、あたしの周りは、しもぶくれのおかめ顔ばかり。その小袖は、源氏物語の作者紫式部ペンネーム)こと香子さまのお付の女房だった。

物語は、小袖が香子さまの源氏物語の執筆のためのネタ探しに奔走するというお話です。なんだか、源氏物語の取材記事を読んでいるみたいで、なかなか面白ですね。

『あたし、ここでは小袖と呼ばれている十八歳の肉体と三十歳の精神を持ったこのあたしは、あの源氏物語を書いた紫式部というペンネームを持つ女性の助手のようなことをして暮らしている。もちろん、源氏物語を書くことは紫式部の本職ではなく、紫式部と名乗っている女性、ここでの呼び名は香子という人は、帝の中宮である彰子さまの教育係というか家庭教師が本来の仕事。そしてあたしもやはり宮仕えの女房であって、香子さまのお手伝いをして彰子さまのために働くのが表向きの役割なのだが、実のところは香子さま専属の雑用係として、主に源氏物語のネタ探しを仕事としている。』

これって、SF小説というのでしょうか?源氏物語の「夕顔」「葵」「明石」などの裏事情を覗いている(もちろん、物語の世界)って、感じでしょうか?まあ、柴田よしき作「源氏物語秘話」ですね。