「火天の城」

tetu-eng2018-04-08

火天の城
山本 兼一
2009年1月30日第3刷
文春文庫

また、また、相撲がやり玉に上がっているので、野次馬として一言、二言。

「土俵の上は女人禁制」いいじゃないですか。だって、大相撲は、土俵の上で、男の相撲取りが裸に褌一丁で体と体をぶつける格闘技です。そして、老若男女が観客として、ヤンヤヤンヤと歓声を上げる見世物なのです。その土俵というリングに女性を上げないのは、男の戦いの場だからです。それが、何が悪いのか?

もちろん、今回、女性の看護師さんが救命のため、土俵の上にあがったのは、それは、場所が土俵だっただけで、救命という相撲とは無関係の目的のためであり、これは、「土俵の上は女人禁制」の埒外の話でしょう。もちろん、行司アナウンスが勇み足だったと思います。

このことを、奇貨として、某宝塚市長や、某元大阪府知事が、ルールを変えるべきなどという難癖をつけるのは言語道断でしょう。日本には、「女人禁制」という場所は、掃いて捨てるほどあります。多くは、信仰と伝統に起因するものですが、男の戦いの場を女人禁制にするのは、伝統であり、こういった伝統を尊重するのも日本の歴史だと思います。

負けるな!六角理事長、いや八角理事長でした。まあ、たぶん、多くの良識ある大和なでしこは、ぼくと同じ意見だと思います。一部の挨拶をしたい、賞を与えたい、なんとか目立ちたいと考えている方のご意見だと思うので、馬耳東風が一番でしょう。

あっ、書いていて思いつきました。要するに、土俵の上には、力士、行司、呼出など相撲関係者以外は上げなきゃいいのでは。これで、どうですか?

久しぶりの歴史小説です。山本兼一さんは、ぼくよりも若いのですが、もう、お亡くなりになっています。若くして亡くなっているので、多作ではありませんが、「利休にたずねよ」で直木賞を受賞しています。この本も、本箱で読まれる順番を待っていました。久しぶりに歴史小説を読むと、面白いですね。山本兼一さんの作風は、しつこい解説がないのがいいですね。晩年の司馬遼太郎は、すぐに「余談ではあるが・・・・」と歴史薀蓄がはじまっていました。

火天の城」これは、安土城のことです。織田家の番匠(ばんじょう)(大工さんのこと)である岡部又右衛門の物語。もともと、熱田神宮の番匠でしたが、桶狭間の合戦以降、織田家の番匠頭となり、さまざまな砦、岐阜城などの城の普請を手がけていた。最後に、信長から託された大仕事は、安土城の築城でした。この時代の世紀のプロジェクトです。

コンピューターのない時代に、五重の天主の指図(設計書)を描く技能、そして、建築していく技術ってすごいですよね。この小説を読むと、大規模な木造建築の技法が随所に書かれているので、「へぇ〜」とは口に出して言いませんが、心の中で驚きの連続でした。残念なのは、完成後、すぐに明智光秀の謀反により焼け落ちてしまって、跡形もなくなってしまったことです。

残っていれば、間違いなく、世界遺産でしょうが・・・。もったいないことです。毎日が日曜日になったら、是非、信長の夢の跡を訪ねて、安土に行ってみよう。