「東京公園」

tetu-eng2018-07-22

「東京公園」
小路幸也
平成23年5月10日第3刷
新潮文庫

先々週は、「三日三晩、雨が降り続いています。」と書いた。その影響で、西日本は各地で大災害が発生し、いまも、多くの被災者が生活再建に奮闘されています。

自然は、厳しいものであす。

今週は、「人の命に係わる高温」と言うほどの酷暑が続いています。毎日、最高気温が37度、最低気温が27度。天気予報の最後には、「不要不急の外出は控えるように、外での運動も控えるように、室内でもクーラーを惜しまないように、・・・」などなど、酷暑への対応が注意されています。

若いときは、「夏は、ぼくの季節」なんて言って、冬よりは夏の方が元気いっぱいだったのですが、最近は、やや変調してきました。冬は、服を着れば寒さは凌げますが、夏は、裸になっても暑いのは、どうにもこうにもなりません。あとは、クーラーに頼るだけです。とにかく、一日中、クーラーは点けっ放しの状態です。

七月からこの暑さだとすると、・・・これから先、八月はどうなるのでしょうか?などと、考えていると怖くなるので、考えるのを止めて、日々を快適に過ごすことに専念します。

小路幸也の小説って、なぜか手に取ることが多いですね。なぜだろうと、思っていたら、「LOVE」ですね。小路幸也の小説は、つねに、「LOVE」がモチーフなのです。もちろん、「LOVE」には、いろいろな対象があります。家族、友人、社会、動物、自然などなど、「LOVE」は、森羅万象、すべてに通じるものなのです。

「東京公園」は、公園に対する「LOVE」ではありません。公園を訪れる家族・・・その家族を写真に収める写真家をめざす大学生の圭司の物語です。被写体としての家族をファインダー越しに覗いているときに、圭司は、父親のことを思い出します。

『家を出るときに父さんは、別に無理に帰ってくる必要はないって笑っていたんだ。
「どうせ何かあったら戻らなきゃならないんだから、放っておけ」
そう言っていた。子供は親元を離れたらそれっきりでいい。元気でやっていればそれだけでいいんだって。それはそれで子供としてはありがたい言葉だったけどどうなんだろう。淋しくはないものなんだろうか。
親の気持ちは親になってみないとわからない。そんなふうに皆言う。そうなんだろうと思う。だから、子供は親に甘えていればいい。ただそれだけでいいんだって、父さんは言っていた。』

ぼくも、18歳で上京するとき、親父は言っていた。「遠くに離れる以上、親の死に目には会えないものだ」「人間至る所に青山ありだ」。親父の言ったとおり、ぼくは、両親の死に目には会えなかった。

親は、元気のいいときには、強がって威勢のいいことをいう。ぼくも、息子に同じことを言った。でも、年をとって気力が衰えてくると、やはり、子供にはなるべくそばに居て欲しい、と、そう思う。息子には、絶対に言えない親の心のうちです。

それは、子供を遠くに行かせてしまった、どの親も同じ気持ちなのでしょう。これも、普遍の原理ですね。親と子の「LOVE」なのです。