「こころの処方箋」

tetu-eng2018-09-16

「こころの処方箋」
河合隼雄
平成28年5月25日第45刷
新潮文庫

朝の通勤電車で、Hくんに遭遇。「年金受給を70歳まで引き下げるらしいですね」「えっ何で知ってるの?」「ブログ読みました。」

これは、大きな誤解であるので、この場で訂正します。老齢基礎年金(国民年金)については、受給の繰り下げを行い、1年後に受給時期を考えるということで、70歳まで受給しないと決めたわけではありません。さらに、老齢厚生年金については、65歳で受給するつもりですが、まだ、給与所得があるので、支給停止です。

だいたい、年金を70歳まで受給しないで生活ができるほどの財産は、ぼくには、ありませんよ。まあ、あればHappyなのですが、若いときには、「宵越しの金はもたない」なんて粋がっていたツケが、今やってきました。Hくんへ、「若いときに、老後資産」を考えるのは「あなた」次第です。それでは、「いくら必要なのか?」というと、誰にもわかりません。

最後は、「吾唯足るを知る」ということでしょう。

先日、ちょっといいことがありました。雨降りの日、鞄(リュック)を背負って、傘を持って、マンションの玄関で自動ドアのセンサーに鍵でチェックしようとしたら、ピロティで遊んでいた可愛い女の子が中からセンサーに手をかざしてくれました。ぼくは、鞄から鍵を出さずに玄関から入ることができたのです。「ありがとう」ってその子に声をかけたら、「にっこり」としてくれました。

ぼくは、この小さな女の子のちょっとした心遣いに、とても「いい心持ち」になりました。ぜひ、大きくなっても、この「やさしい気持ち」を失わずにいて欲しい・・・そんな「老人のつぶやき」です。

『臨床心理学などということを専門にしていると、他人の心がすぐわかるのではないか、とよく言われる。私に会うとすぐに心の中のことを見すかされそうで怖い、とまで言う人もある。確かに私は臨床心理学の専門家であるし、人の心ということを相手にして生きてきた人間である。しかし、実のところは、一般の予想とは反対に、私は人の心などわかるはずがないと思っている。』

河合隼雄さんは、ユンク心理学の第一人者であることは、以前にも書きました。「こころの処方箋」は、タイトルを読むと、なんだか、うつ病などのこころの病の話かな?と思いますが、そうではなくて、河合隼雄さんが日常、感じていることなどを題材とした55編のエッセーです。いわば、知の巨人と呼ばれた人の人生感を綴った一冊です。

だから、タイトルを読むと、「うむ、なるほど」と共感できる一節がたくさんあります。すこし、紹介しましょう。

『「マジメも休み休み言え」・・・「やりたいことは、まずやってみる」・・・「男女は協力し合えても理解し合うことは難しい」・・・「ものごとは努力によって解決しない」・・・「善は微に入り細にわたって行わねばならない」・・・「「昔はよかった」とは進歩についてゆけぬ人の言葉である」・・・「道草によってこそ「道」の味がわかる」・・・「心配も苦しみも楽しみのうち」・・・などなど』

本棚に1冊、「こころの処方箋」は、いかがですか?