「ユートピア」

tetu-eng2018-11-18

ユートピア
湊 かなえ
2018年6月20日第1刷
集英社文庫

今年のテニス界は、「錦織 圭」「大坂なおみ」の二人の日本人選手の活躍で盛り上がりました。ファイナルに日本人男女が出場したということは歴史的快挙ですよね。残念ながら、二人とも準決勝には進めませんでしたが、お疲れ様でした。とにかく、楽しませていただきました。

ただし、ぼくは、「wowow」の契約をしていないので、「Sportsnavi」を見ながら、一喜一憂するだけです。テニスは試合時間が不定なので、なかなかNHKや民放では放映は難しいのでしょうね。日本のテニス人口がどのくらいなのか知りませんが、ATPツアーの賞金をみると、世界では、人気のスポーツなのでしょうね。

二人の活躍で、テニス人口は増えるのかと思ったら、ぼくの行っている「スクール」では、あまり経済効果はないみたいですね。それどころか、高齢化が着実に進んでいて、いまや、元気な高齢者でもっているようです。ぼくのクラスも、平均年齢は、50代ですし、ぼくを含めて、65歳以上が3人(10人中)という現況です。

これから、年末にかけて、二人のテニスバラエティーへの出演が多くなるでしょうが、それも、楽しみです。でも、来年1月には、全豪オープンが開幕します。二人にとっては、短いオフシーズンに十分に休養して、コンデションを整え、来年も活躍を期待しています。ぼくも、いつまで続けられるかわかりませんが、それなりのテニスを楽しみたいと思う今日この頃です。

テニスのお話は、ここまでで、読書雑感です。

湊かなえさんの本は、何度か、紹介しています。ご存知のとおり、広島県因島出身、武庫川女子卒、現在、淡路島在住らしいです。ライトなミステリー作家ですね。ぼくの好きな作家さんのひとりです。因島を舞台にした「望郷 海の星」(短編ミステリー)も紹介しました。出身が因島ということがかんけいしているのかどうか・・・「ユートピア」も港町が舞台となっています。

『生まれた時から住んでいる場所を、花が咲いて美しいところだとか、青い海を見渡せて最高だとか、温暖で過ごしやすいとか、特別な場所だと思ったことなど一度もない。そういうのは、外から来た人が感じることだ。だからといって、その人たちに町の良さを教えてもらう必要などまったくない。
地に足着けた大半の人たちは、ユートピアなどどこにも存在しないことを知っている。ユートピアを求める人は、自分の不運を土地のせいにして、ここではないどこかを探しているだけだ。永遠にさまよい続けていればいい。』

太平洋を望む美しい景観の港町・鼻先町。そこに先祖代々から住んでいる住人と新たに移住してきた住人。新たに移住してきた住人は、その地をユートピアだと思っている。でも、先住人は、そこ以外に移り住む場所がないので、そこで暮らしている。土地への愛着のギャップが、少しずつ生活のリズムを狂わせることもある。

生まれ育った土地が一番と考える人、いい思い出がなく早く出たいと考える人・・・育った土地に対する思いは人それぞれでしょう。一方、その土地を気に入って移住した人・・・土地・土地で暮らす人たちの間には、様々な心理ゲームも繰り返されるでしょう。そんな心理ゲームが、ミステリアスに描かれています。

「住めば都」っていいますけど、そんな単純なことではないですよね。