「手のひらの音符」

tetu-eng2018-12-15

「手のひらの音符」
藤岡 陽子
平成30年8月10日第8刷
新潮文庫

12月15日、早いものです。もう、今年も余すところ、あと半月となりました。年末は、寂しい。クリスマスは、もっと寂しい。年寄りにとっては、年が明けて、また、ひとつ年をとるのが嫌ですね。と、言っても、こればかりは、「時間よ、止まれ!」というわけにはなりません。

今日は、そんな「じぃじぃたちの忘年会」です。「Year−End Party」

「2018 is almost over. This year went by fast me.」
「The older I get、the faster time goes by.」
上記の英語を日本語に訳せ!なんちゃて!

そうそう、先週の土曜日も忘年会でした。そこで、事件がありました。ぼくは、死ぬかと思いました、というか、あとで考えるとですが・・・。テニスを3時間も楽しんで、テニスの仲間との忘年会。ビール・・・焼酎・・・ホッピー・・・ワイン・・・何が何だかわかりません。

正確には、忘年会のあと帰宅途中です。ぼくは、お酒は、あまり強くないのですが、この日は、なぜか気持ちよく、飲んでしまいました。ところが、歩いていて、突然、腰から砕けるように崩れ落ち、転んでしまいました。幸い、手のひらを擦りむいた程度でしたが、Sくんの助けがなければ、起きることはできませんでした。

もし、かりに、Sくんが居なかったら、ぼくは、そこで、起き上がれずに、凍死していたかもしれません。そこから、Sくんが家まで送ってくれました。ここまでは、覚えていますが、あとは、朧!あとは、おぼろ!記憶がありません。ぼくは、Sくんのお陰で、一命をとり止めたのです。

もう、酒は飲まない。でも、また・・・・。

「Do you drink?」
「Not really、but today is special.」

藤岡陽子さんの小説は初見です。巻末の解説によると、報知新聞のスポーツ記者、法律事務所の事務員、看護専門学校を卒業して看護師・・・そのとき小説を書き始めたとのこと。キャリア10年の作家さんです。

感想・・・一言。小説の構成、文章などなど、面白いと思います。場面の切り替えに、もう少し工夫がいると思いますが、直木賞を狙える作家さんに成長されることを期待します。泣かせる小説だと思いますが、やや、不十分かな?なんて、偉そうにね。

主人公は、服飾デザイナーの瀬尾水樹。独身、45歳。とつぜん、会社が服飾から撤退することとなります。物語は、ここから始まる。水樹には、幼馴染の3兄弟がいました。人生の変わり目に、その3兄弟との思い出が交錯します。
小説は、現在の水樹の転職の悩み、入院中の恩師との再会など、と、幼馴染の3兄弟との高校卒業までの思い出が、場面を交互に入れ替わりながら、いい感じのテンポで流れていきます。悲しい出来事、うれしい出来事、楽しい出来事・・・・そして今。水樹の新たな人生の出発は・・・・。

団地の中をゆっくり歩いていると、あの頃の自分たちのはしゃいだ声が懐かしく思い出される。もう何十年も聞いていない声なのに、記憶の中ではきちんと再現できる。大切な人たちだったのに、誰ともきちんとさよならをしていない。
人と人の繋がりは、出逢いの一点はいつも明確なのに別れの一点はたいてい曖昧で、後から思えば伝えたいことはたくさんあったのに最後にどんな言葉を交わしたのか、思い出せない。』

そうだね。でも、この年になると、生きているうちには、「もう、逢えないかも」、と、思うことがときどきある。