「明智光秀」

明智光秀
早乙女貢
2019年11月5日新装版第六刷
文春文庫

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来年のNHK大河ドラマは、逆賊といわれた「明智光秀」が主役だけに、オンエア前から波乱でした。そう、沢尻エリカの薬物問題で、濃姫のキャスト変更、撮り直し。NHKは、「いだてん」でも大松監督役のチュートリアル徳井の脱税問題で一波乱。結局、これは、撮り直しなしで、いよいよ、今週で、最終回です。

NHK大河ドラマの放映前に原作本を読むのは、これ、ぼくの毎年の恒例です。ただし、今年の「いだてん」は、東京オリンピックがテーマだったので、ぼくは、小学校5年生の時にライブで観戦ずみ。だから、昨年の年末には、珍しく、大河ドラマつながりの歴史小説を読みませんでした。

残念ながら、「いだてん」の視聴率は、史上最低になるかも?NHKさん、やはり、大河ドラマは、歴史ものが「いい」のではないですか?NHKの会長も交代するらしいので、大河ドラマの歴史もの路線はまもってくださいね。

さて、そこで、来年の大河ドラマ麒麟がくる」の主役、「明智光秀」につながる歴史小説は、数冊ありますが、何を読むか?年末になると、書店に平積みされているのは、「司馬遼太郎国盗り物語」(読了済み)、藤沢周平「逆軍の旗」、真保裕一「覇王の番人」などがありますが、ぼくは、早乙女貢の「明智光秀」をチョイス。ストレートそのまんまんですね。

歴史小説を多く書いている早乙女貢さんは、ぼくのオヤジと同じ年(もう、二人とも亡くなっていますが)。だからということではないですが、司馬遼太郎のように史実に忠実で、すこし、フィクションをくわえるのではなく、歴史を題材にして、物語を作り出すタイプだったと思います。まあ、歴史小説は、だれもライブで見ているわけではないので、当たり前かもしれませんが、その振れ幅が、作家のキャラクターだと思います。

期待どおり、この「明智光秀」は、三分の一を読み終わったとき、本能寺の変から山崎の戦いで、羽柴秀吉に敗北。えっ、これでは、小説が終わってしまう。と、思っていたら、何やら、妙な展開になっていきます。

源義経は、大陸に渡ってジンギスカンになった。西郷隆盛は、フィリッピンに渡って生きていた。なんて、お話と同類。明智光秀は、生きていたのです。しかも、百十八才まで。ここが、早乙女貢のフィクションの面白さです。明智光秀は生き延びて、比叡山に庵を構えて、やがて、徳川家康の懐刀として、徳川幕府の礎を築くらしいです。なんと、種を明かすと、明智光秀は、「天海僧正」になっちゃたのです。びっくり!

たぶん、NHKの「麒麟がいく」では、そんなことにはならないと思いますが・・・?天海僧正って誰?という方は、この本を読んでください。

ヒント、上野寛永寺の開祖。