「罪の声」

「罪の声」
塩田 武士
講談社文庫
2019年8月1日第4刷発行

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一週間、過ぎるのが早い。二さん日前に、「石切さん」に行ったと思っていたら、あれは、もう、一週間前のことでした。二さん週間前に、令和2年正月を迎えたと思っていたら、あれは、もう、一か月前のことでした。二さんか月前に、無所属になったと思っていたら、あれは、もう、七か月前のことでした。


今、ぼくが、常日頃から、利用している各大学の図書館が、試験などで一般者の利用が制限されています。そのため、ぼくは、行き場を失って、自宅で過ごす時間が長くなっています。なぜだか、自宅に居ると、いつの間にか時間が過ぎてしまいます。テレビを見ながらゴロゴロしているわけではないのですが・・・?

 

歳をとると何故、時間が早く過ぎるのか?というクエッションは、よく聞く話です。1時間の長さは、大人だろうと子供だろうと1時間は、1時間です。テレビ情報では、経験と刺激の関係とのこと。子供は、初めての経験が多く、脳がつねに刺激を受けている状態。大人は、すでに経験済みのことが多く、脳が刺激を受けていない状態。


もっと、簡単に言うと、初めて通った道は、行きは長く感じますが、帰りは短く感じる。そういうことらしいです。したがって、外出して、大学の図書館に居ると、若い学生諸君を見ているだけで脳が刺激を受けている状態。えっ、変な意味ではありません(もちろん、男子学生よりは、女子学生の方が刺激はあるかも)。しかし、家に居るときは、脳が刺激を受けない。これが、時間を長く感じるか、短く感じるかのメカニズムらしいです。歳を取ると、できるだけ外へ出るのが時間を長く感じるコツですかね。


前置きが長くなりましたが、30年前のこと、「グリコ・森永事件」を知っていますか?


昭和59年~60年。昭和の未解決事件。キツネ目の男。阪神で発生。ぼくは、当時、神戸に住んでいました。ぼくの記憶では、グリコの社長が誘拐されて、身代金を要求され、また、青酸入りお菓子をばらまいたとの脅迫状。社長が下着姿のまま河川敷で発見された映像。とにかく、食品会社を標的にして、市民をも人質にするという「とんでもない事件」でした。


この事件は、多くの証拠品が残留されていたにもかかわらず未解決のまま時効となりました。


最近、塩田武士さんの本が、数冊、書店で平積みされています。まだ、読んだことがないので、「罪の声」をチョイスしました。「グリコ・森永事件」をテーマにした事件小説です。


昭和の未解決事件の特集記事の取材のため、30年も経過して、事件の洗い直しをすることとなった新聞記者。自宅から脅迫状のカセットテープがでてきたが、録音された声が自分の子供の頃の声だったテーラーの職人。この二人が、事件の真相を追い始める。


事件の内容は、「グリコ・森永事件」をモデルに、発生日時、脅迫状の内容、発生場所、事件経緯など、事実に沿って克明に再現されている。こんな事件が、ほんとに、昭和の時代に発生して、なおかつ、未解決になっていたことに、改めて、驚かされる。


事実を克明に再現するために、事件経過が、長々と書かれているために、やや、ダラダラした感がある。まるで、ノンフィクションを読んでいるみたいに。それでも、事件の真相が暴かれてくる小説の終盤では、ちょっとしたドキドキ感もある。

 

もちろん、この真相はフィクションです。