「推し、燃ゆ」

「推し、燃ゆ」

宇佐美りん

文藝春秋3月号

2021年2月発行

 

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あっぱれ!橋本聖子さん。

 

橋本聖子さん、夏冬オリンピック7回出場、銅メダルも獲得・・・その程度しか知りません。が、今回、大臣を辞職して迄、火中の栗を拾うなんて、とても、決断できることではないでしょう。

 

決定してから、またぞろ、外野か内野か知りませんが、いろいろと言う無責任な人たちがいますが、もう、何もできない評論家はいりません。どんな裏事情があるかなんて関係なし。ぼくは、この度胸の良さに、もろ手を挙げて応援したいと思います(何の役にも立ちませんが)。

 

ちょっと、愚痴ると、とかく、世間は、小賢しい。とくに、腹が立ったのは、立憲民主党の安住国対委員長、「国会議員も辞職するべき」・・・しゃらくせい!とは、このことです。大臣を辞し、自民党を離党し、これ以上、何を言うか?

 

とにかく、ここは、日本国民一丸となって、彼女の決断に報いるためにも、橋本聖子さんを応援するのが、人の道でしょう。

 

開催都市、東京都知事小池百合子、大会組織委員会会長は橋本聖子、オリンピック・パラリンピック担当大臣は丸川珠代、女性3人のそろい踏みです。こいつは、是が非でも、東京オリンピックパラリンピックを成功させなければ、日本人としての矜持が保てないね。

 

もちろん、コロナを乗り越えて!頑張れ!日本!(チャチャチャ)

 

文学界では、芥川賞は、宇佐美りんさん、直木賞は、西條奈加さん、女性のダブル受賞。宇佐美りんさんは、21歳の現役大学生。2004年の金原ひとみさん(当時20歳)、綿矢りさ(当時19歳)さん以来、3番目の若さでの受賞とのこと。

 

17年前の「蛇にピアス」「蹴りたい背中」は、当時、ぼくは、読みませんでした。が、最近、読んでみて、その感覚の斬新さに驚きました。いまでも、古さを感じさせません。

 

さて、「推し、燃ゆ」。

『推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。まだ詳細は何ひとつわかっていない。何ひとつわかっていないにもかかわらず。それは一晩で急速に炎上した。』

主人公の「あかり」は、高校生。地下アイドルのファン。推し、は、「真幸くん」。「推し」とは、ファンとして支援している・・・という意味かな。SNSで、同じアイドルを応援するファンと、日常茶飯事、交信している。

 

「燃ゆ」とは、そのSNS上で、「炎上」すると言う意味か?「推し」の小さい時からの経歴などを調べ上げ、グッズを買いそろえ、当然、写真集やCD、そして、コンサートチケットを何枚も買う・・・俗にいう、入れ上げる、と言う意味かも?

 

分からない言葉が出てきた「チェキ撮影」。調べてみると、「チェキ」とは、「check it」の略。富士フイルムインスタントカメラらしいです。コンサートの後、「推し」とチェキ撮影できるサービスがあるらしい。

 

「あかり」の日常は、アルバイトと「推し」一筋。当然、学業はおろそかになり、高校は中退する。そんなとき、「推し」が引退する。

『とにかくあたしは身を削って注ぎ込むしかない、と思った。推すことはあたしの生きる手立てだった。業だった。最後のライブは今あたしが持つすべてをささげようと決めた。』

人生には、良くも悪くも、「こだわり」が必要であることもある。宇佐美さんは、生きていくための背骨として、誰かを、何かを、支援する、応援することを「推し、燃ゆ」という。

 

宇佐美さんの次作が、待たれます。

 

もう一人、すごい女性がいます。大坂なおみ!あっぱれ!