「京都一乗寺 美しい書店のある街で」

「京都一乗寺 美しい書店のある街で」

大石直紀

光文社文庫

2020年12月20日初版

 

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今年は、桜がとくに綺麗に感じるのは、気のせいでしょうか?兵庫県公館の桜が、とても豊かに咲いていました。

 

さて、『酣』・・・この漢字、なんと読むのでしょう。

 

似て非なる『酢(す)』ではありません。酉(さけつくり、とりへん)に甘(い)で、甘酒・・・ではありません。ちなみに、「あまざけ」は、『醴』です。

 

はい、答えは、「たけなわ」と読みます。

 

語源は、諸説ありますが、酒は醸造の過程で甘くなる・・ことが由来とか。または、飲み過ぎると甘く感じるとか。そこから、盛り上がっていることに繋がっているとか。そして、「宴もたけなわですが、」という宴会のお開き前の常套句。

 

漢字の起源は、結構、面白い。そのほか、酤(ひとよざけ)、酲(ふつかよい)、まあ、これらは酒にダイレクトに関係していますね。

 

コロナまん延防止措置で、営業時間の短縮要請・・・21時から20時に前倒し。この1時間は、大きな意味があると思います。懇親会の一次会が、お開きになるのが、おおむね、21時・・・「宴もたけなわですが、」で三本締めです。

 

20時だと、「宴がたけなわにならない、」ので宴そのものの開催に至らない・・・ということ。あ~、もう、随分と長い間、「宴もたけなわ」の機会がありません。20歳以降の人生で、こんな空白って、初めてかも。

 

余談は、このぐらいにして、京都一乗寺って、ご存知ですか?

 

叡山鉄道の始発駅出町柳駅から5分で一乗寺駅。(あっ、兵庫県にも加西に天台宗の法華山一乗寺がありますが、今回の紹介は、京都一乗寺。)おっと、お寺の案内をするのではありません。この一乗寺駅の付近、一乗寺商店街にある「恵文社」という書店のお話です。

 

いやいや、書店のお話ではなく、「京都一乗寺 美しい書店のある街で」という小説の紹介でした。もう、お判りでしょう。美しい書店・・・これが、「恵文社」。街が、京都一乗寺です。

 

この京都一乗寺という街を舞台にした短編ミステリーが、4編。それぞれ、「恵文社」という書店の趣が、ミステリーに華を添えています。小説の内容よりも、「恵文社」に興味をそそられてしまいました。こんな小説はありですか。ありでしょう。この小説は、京都を舞台にした「いわゆる京都本」ですから。

 

『レンガの壁、緑色のドア、植木鉢とアンティーク調のベンチ、大きな窓と、そこを通して見える店内の丸い照明。店の外観は、頭に浮かぶものとまるで同じだった。外国の街角のようだと思ったのは、その外観そのものが、ヨーロッパのどこかの町を連想させるからだろう。』

恵文社一乗寺店は、2010年に、イギリスのガーディアン紙が選ぶ「世界で一番美しい十の書店」に名を連ねたこともある。本好きには有名な書店、』

京都一乗寺は、この書店だけではなく、当然、有名な古刹などがあります。狸谷不動院詩仙堂一乗寺下がり松(宮本武蔵と吉岡一門の決闘)、そして、京都でも有名なラーメン激戦区などなど。

 

なお、一乗寺というお寺は、現存していません。ミステリー?

 

コロナが落ち着いたら、是非、京都一乗寺の調査に行きたいですね。乞うご期待。