「夏物語」

「夏物語」

川上未映子

文春文庫

2021年8月10日第1刷

 

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山の紅葉 そろそろ、山が色づき始めました。地域にもよりますが、紅葉の最盛期は、11月中旬から12月初旬って頃でしょうか?でも、今日は、立冬。いよいよ、暦のうえでは、冬支度です。

 

どうしたことか?六甲縦走の西の端に迷い込みました。神戸市営地下鉄妙法寺駅の名前の由来となった「妙法寺」に行こうと思って、逆方向に行ってしまいました。戻るのも、シャクなので、そのまま、ウォーキングスタイルの「やや人生の先輩」についていきました。

 

すると、どんどん、山に分け入っていき、とうとう、東山(標高253m)の頂に到着。かなりの上りの山道で、額から汗が滴ります。見渡せば、「馬の背」が見えるし、「六甲縦走路」の標識あり。「ありゃー!」

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「やや人生の先輩」は、すぐに、出発。ここで、見失うと、ぼくは、遭難してしまう(それはないか?)と思い、「おっとり刀」で出発・・・そのまま、すれ違う人もいない山道を進んで、とうとう、板宿八幡神社に到着。そこから、板宿の街に出て、辛くも、山から抜け出しました。

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やれやれ、思いもよらぬ「六甲縦走の西の端」を経験しました。と、言っても、所要時間は、僅か、1時間程度ですが・・・・。

 

余談は、ここまで。

 

川上未映子さん、お久しぶりです。「夏物語」・・・この本、川上さんのサイン本です。ときどき、書店に作家さんのサイン本が並ぶことがありますが、買うのは初めてです。サイン本、でも、値段は同じです。ただ、珍しいだけ。

 

さて、あなたは、突然、父方の祖母に、「あなたは、血のつながっていない孫」って言われたら、どうしますか?もちろん、ビックリするでしょう。そして、言葉の意味を考えれば、自分は、母とは、血続き、父とは血縁なし???要するに、父の血縁上の子供ではない。

 

AID(精子提供)って、知っていますか?

 

『日本では六十年以上もまえから不妊治療として実施されてきた精子提供(AID)。これまでに一万人以上の人たちが誕生していると言われていますが、法整備をふくめ、じゅうぶんな議論がなされていませんでした。今後ますます発展する技術と、多様化する価値観。第三者の関わる生殖医療は、いったい誰のためなのか。「親と子」、そして「いのち」は、どうあるべきか。』

 

少子化問題は、日本の最大の課題。不妊治療の保険適用は、その解決の一方法。保険適用の不妊治療にAIDが含まれるかどうかは、ぼくは、知りませんが、子供のいない夫婦、とくに、男性に原因がある場合、この治療の選択がある。さらに、未婚の女性、女性同士のカップルでも、この治療を選択することもある。

 

子どもがうまれたとき、夫婦は、満足すると思いますが、さて、やがて、成長して大人となった子供は、どうだろうか?

 

『自分の本当の父親を探していたけれど、会わなければいけないと、自分自身の半分がどこからきたものなのか、それを知らなければならないと思っていたけれど、

僕を育ててくれた父に、僕の父はあなたなんだと、そう言えなかった。

父が生きているあいだに本当のことを知って、そのうえで、それでも僕は父に、僕の父はあなたなんだと、・・・僕は父に、そう言いたかったのです』

 

不妊治療をしようとする夏子と不妊治療によって生まれた逢沢との物語。