「渦  妹背山婦女庭訓 魂結び」

「渦  妹背山婦女庭訓 魂結び」

大島真寿美

文春文庫

2021年8月10日第1刷

 

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明石上の丸教会 明石城から天文科学館辺りをブ~ラ・ブ~ラとしていたら、お寺や神社のほかに、キリスト教教会がありましたよ。さらに、ちかくの本松寺に、ジャイアント馬場のお墓がありました。奥さんが明石の出身ということで、こちらでの埋葬を希望されたそうです。16文キック。32文ダブルキック。

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コロナ感染者数がさざ波になってきました。が、ニュースによると、欧米や韓国では、感染が再爆発しているとのこと。日本でも、第6波への警戒感はあるものの・・・。

 

昨年の第1波の頃、日本は、欧米に比べると感染者が少なく、日本または日本人には、何か「ファクターX」なる要因があるのではないか?と、山中教授が言っていました、今、また、日本は、諸外国とは、異なった傾向です。

 

なぜでしょう?感染症の専門家も解らないようです。とにかく、コロナという感染症は、解からないことだらけ。21世紀、自然に対して、科学が、こんなにも無力だと思い知らされるホモサピエンスです。

 

そうは言っても、検査薬、ワクチン、治療薬など、ホモサピエンスも知恵を絞って、コロナの克服に精を出しています。これが、「進化」と言うものでしょうか?

 

余談は、ここまでで、今年一番の(本当に一番の)おすすめの小説です。感想・・・「面白かった・・・ぼくは」

 

大島真寿美さんの小説は、たぶん、初見だと思います。この小説、直木賞及び高校生直木賞(高校生が選ぶ1年間でもっとも面白かった本)を受賞しています。

 

シチュエーションは、ときは、江戸時代中期(1700年中頃)、場所は、大阪の道頓堀、主人公は、近松判二。

 

タイトルの「妹背山婦女庭訓」(いもせやま おんなていきん)は、人形浄瑠璃の演目の一つです。「妹背山」とは、奈良の吉野川を挟んだ「妹山」と「背山」。「婦女庭訓」とは、女子用の教科書。らしいです。

 

ここまでで、大方、この小説の内容が想像できたと思います。

 

そうです。人形浄瑠璃のお話です。大阪道頓堀は、人形浄瑠璃のメッカ。しかし、歌舞伎人気に押されて、竹本座の人形浄瑠璃は瀕死の状態。そこで、起死回生の演目を書き出したのが近松門左衛門の硯を引き継いだ近松判二。

 

「妹背山婦女庭訓」が書き出されるまでの浄瑠璃作家の熱量に圧倒されます。浄瑠璃の世界は、人の世を映し出す。その作家は、わが身を削るようにして、作品を生み出していく。

 

『ままならぬのが人の世だ。艱難辛苦に翻弄され、泥にまみれていくのが人の世だ。醜い争いや、失望や、意図せぬ行き違い、諍い、不幸な流れ。辛い縁に泣き濡れて、逃れられぬ定めに振り回されていくばかりが人の世だ。

それなのに、なぜうつくしい。

悲しみも嘆きも、苦しみも涙も、なぜうつくしい。

そうよな。

それが操浄瑠璃よな。』

 

ああ!この本を読めば、あなたは、きっと人形浄瑠璃を見たくなります。なお、人形浄瑠璃は、現代では「文楽」と呼ばれています。