「熱帯」

「熱帯」
森見登美彦
文春文庫
2021年9月10日第1刷発行

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明石天文館 東経135度 日本の標準時刻 なぜ、東経135度が標準時刻になったか?なぜ、東京(東経140度)にしなかったのか?答えは、15度で割り切れるから。(グリニッジ標準と、ちょうど9時間の時差)(チコちゃん)。なぜ、明石が子午線の街なのか?答えは、明石が一番に手を上げたから(諸説あり)。

 

年明け一番手のお出かけは、近場で行ったことのない「明石天文科学館」でした。国道二号線を走ると、いつも目にする「時計台」。でも、行ったことがない。


入館料 大人700円。でも、65歳以上は、半額。明石在住の65歳は、無料。いいね!


ちょうど、1時10分のプラネタリウムの上演に間に合いました。何年ぶりだろう。たしか、そのむかし、むかし、池袋のサンシャインシティで見たような記憶があります。


リクライニングシートを傾けて、天井に、夕方から夜明けまでの冬の星座が映し出されます。解説を聞かないと、さっぱりわかりません。


なにせ、天文についての知識は、ゼロ。覚えているのは、「水・金・地・火・木・土・天・海」程度です。ぼくのころは、冥王星も惑星だったけど。


アルデバラン(おうし座の一等星)も出てきました。「アルデバラン」って、朝ドラ「カムカムエヴェリバディ」のAIが歌う主題歌です。


一番、不思議なのは、星をつないで星座に見える?どう見ても、見えないのに、なぜ、「おうし座」とか、「オリオン座」とか、とても、言われても、イメージできませんけど。古代ギリシャでは、イメージできたってこと??


ありゃ、余談が長くなりました。


森見登美彦さんの「熱帯」・・・とても、大作です。でも、高校生直木賞に選定されています。

 

『汝のかかわりなきことを語るなかれ
 しからずんば汝は好まざることを聞くならん』

 


冒頭、何のことだか、わからない一文で始まりますが、実は、最後まで、何のことだか、わかりませんでした。とても、不思議な物語です。


そう、「千夜一夜物語」のように。

 

『「千夜一夜物語」に収められた膨大な物語のほとんどは、シャハラザードがシャハリヤール王に語ったものとして語られる。
「シンドバット」「アラジン」「アリババ」は、いずれも本来は「千夜一夜物語」に含まれていない。』

 


そうだったのですね。18世紀に、この物語が西洋に紹介される過程で、いろいろな物語が紛れ込んだらしいのです。


そして、この終わりのない「熱帯」という物語も、「千夜一夜物語」に紛れ込まそうとする森見登美彦さんの壮大な意図があるのかないのか。


「熱帯」という物語を求めて、「学団の男」「不可思議な群島」「魔王」「満月の魔女」の物語が語られる。まるで、「千夜一夜物語」のように。


年末年始にかけて、久々のファンタジーノベルを愉しみました。