「クロイドン発12時30分」

「クロイドン発12時30分」
F・W・クロフツ 霧島義明訳
創元推理文庫
2019年2月22日第1刷発行

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太山寺表門 小寒、もうすぐ大寒、1年で一番に寒い季節です。外気温が、4度。それでも、坐禅修行。といっても、温風ヒーターを横において。でも、室内気温12度。純日本家屋のお寺は、寒い。

 

「なんてこったい。」


年末には、一桁だった感染者数が、わずか2~3週間で、1000人超(兵庫県)とは?すごい感染力です。今年も、コロナで新年が始りました。2019年の年末からスタート。2020年、2021年、と足かけ3年目に突入です。


スペイン風邪の終息に、おおむね3年を要したとのこと。あと、1年。21世紀の科学をもってしても、20世紀初頭の感染症と代り映えなし。もちろん、ワクチンなど先進科学により、影響は、最小化されたかも。


第5波の時だったら、とうに緊急事態宣言だが、たぶん、医療のひっ迫度が違うのかな?感染者の数は、毎日、公表されるが、その詳細は不明。大まかには、伝えられるが、多分、これを公表すると、気が緩むとの忖度かな?


南アフリカは、収束気味とのこと。とすると、あと一か月か?それまで、手洗い、うがい、三蜜回避の基本対応ですね。そうそう、予定していた新年会は自粛しました。

 

以上、余談。今週は、めずらしく翻訳本です。


F・W・クロフツ(1957年没)フレンチ警部推理小説が多数。この小説は、1937年の発表のクロフツの代表作です。推理小説の古典とも言っていいかも。そして、2年前に、新訳本として発行されました。


「クロイドン」は、倒叙ミステリの名作です。

 

『通常のミステリとは異なり、最初に犯人の行動を描き捜査によって犯行の過程が暴かれるという、叙述の順序が逆転した手法=倒叙形式を採った作品』

 


クロイドン(ロンドン近郊)発12時30分のパリ行きの飛行機の機内で、アンドルー・クラウザーが突然の死を遂げます。自然死ではなく、薬物による他殺。犯人は、甥のチャールズ。シアン化カリウムを使用した毒殺です。そのとき、チャールズは、休暇で旅行中。


この推理小説は、とても贅沢な内容です。推理小説として、あらゆるテクニックが、詰め込まれています。犯行の動機、犯行の手順、はもちろん。犯人の心理ミステリ、フレンチ警部の警察ミステリ、駆け引きの法廷ミステリなど、贅沢にも、最後に、フレンチ警部による謎解き迄。

 

『哀れな幕引く切れとなった公判から数週間経ったある晩、ロンドンのホテルの一室でささやかな会合が開かれた、集まったのは、ルーシャス・ヘブンストール(勅選弁護士:被告側)、エヴァラード・ビング(法廷弁護士:訴追側)、アレクサンダー・クイルター(チャールズ顧問弁護士)、ルーカス警視(コールドピッカビー警察)、フレンチ警部スコットランドヤード)の五人。純然たる社交の集まりというわけではない。』

 


フレンチ警部が謎解きを語り始める。


小説は、24章で構成されており、翻訳本としては、とても、読みやすいのと、登場人物が、左程、多くないのは、ありがたいですね。


ただし、倒叙ミステリは、犯人が、どんどん、追い詰められていくので、なんだか、気の毒になってくる、そう思う、ぼくは、変かな?