「店長がバカすぎて」

「店長がバカすぎて」

早見和真

ハルキ文庫

2021年12月18日第十刷

 

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天満天神繫昌亭 所用で新大阪に行った帰りに、水都大阪の夏祭り「天神祭り」の中心、大阪天満宮に寄ってみました。夏に行けばいいのに。ぐるりと周囲を回っていたら「天満天神繁盛亭」を見つけました。へえ!ここにあるんだ。寄付の提灯がいっぱいでした。

 

 

今、世界の合言葉は、「NO WAR PLEASE」です。

 

繁盛亭の出演スケジュールを見ながら、「桂わかば」の名前を探しましたが、ありませんでした。

 

誰?うむ、息子の同級生。ぼくが、少年サッカーのお世話をしていた時のクラブのメンバーの一人。「桂ざこば」門下に入って、活躍中とのこと。

 

日曜日の朝、ラジ関の番組のリポーターをしていましたが、最近、声を聴きませんね。落語に専念しているのかも?応援よろしくお願いします。って、勝手に、「推し」をしました。

 

最近、もう一人の「推し」。「早見和真」さんです。

 

まえに読んだ2冊とは、随分、違ったイメージです。あっ、「小説王」とは似ているのかな?同じ、出版業界の話として・・・。いずれにしても、彼の才能を感じさせるものです。

 

巻末に、角川春樹との対談が掲載されていますが、

 

角川春樹 これ、傑作だよ。早見の作品の中で一番いい。力を入れて書いていると言っていたけど。その力の入れどころと抜きどころのバランスがうまく取れているなと感じたね。』

 

ということで、「店長がバカすぎて」ですが、

 

タイトルが、ちょっと、いかがなものかとは思いますが、ストーリーは、左程、おちゃらけた内容ではありません。ベースは、書店員のお仕事小説ですが、だんだん、ミステリーぽっくなってくるのは、面白いですね。

 

6編の連作みたいな構成です。サブタイトルが、店長が、小説家が、弊社の社長が、営業が、神様が、結局、私が、バカすぎて、と続いていきます。

 

『物語の持つ力の一つは「自分じゃない誰かの人生」を追体験できること、いつかそう教えてくれたのは小柳さんだった。他者を想像すること、自分以外の誰かの立場に立つこと。「みんなが自分のことしか考えない時代だもん。一瞬でも自分以外の人間を想像できるなら、それだけで物語は有効でしょう?」と、小柳さんははにかみながら言っていた。』

 

武蔵野書店の契約社員の書店員谷原京子(二十八歳)。バカな店長、小説家、社長、出版社の営業、そして、神様というお客様を相手のトラブル続き、「もう、辞めてやる。」でも、彼女は、本が大好き、だから、辞められないのです。

 

三人の書店員さんが、帯書を書いています。

 

『これは・・・

 店長にばれる前に完売するのでは?! 未来屋書店 碑文谷店 ○○さん』

 

 

出版業界は、小説家、編集者、出版社、書店、書店員さんなどなどから成り立っています。今日、出版業化は不況とのこと。本が売れない。そんなとき、最前線の書店員さんへの応援メッセージのような物語かも。