「荒地の家族」
佐藤 厚志
文藝春秋三月特別号
シマエナガ
このかわいい鳥を知っていますか?雪の要請と呼ばれる「シマエナガ」です。北海道に生息する白くて丸くて、目がクリクリ。最近、大人気。いや、ぼくが知らなかっただけかも。あまりに、かわいいので、今週の写真に拝借。
3月になって、漸く、春めいてきました。
そこで、恒例の観梅に出かけました。1昨年は、「綾部山梅園(2月25日 五分咲き)」、昨年は「世界の梅公園(2月23日 三分咲き)」。いずれも、満開ではなく、今年は、少し、時期を遅らせて、3月3日に昨年と同じ「世界の梅公園」へ。
結果は、残念。入口には、七分咲きの看板。でも、実は、五分咲きかな?白梅は、そこそこでしたが、紅梅は、まったくです。桜と違って、一気に咲いて、一気に散るということはないのかも。ジャスト観梅は、難しい。
この3年間の経験を踏まえて、来年は、3月中旬に、「綾部山梅園」に行こうと、早くも、計画をしています。さて、どうなりますか?
この二つの梅園は、いずれも、龍野にあります。なぜ、龍野か?それは、この季節は、牡蠣の季節です。室津、相生、坂越、赤穂、もうちょっと西に行って、日生と、この瀬戸内海沿岸は、牡蠣の産地なのです。
そういえば、昨年の坂越の牡蠣のバター焼きはうまかったな。来年は、坂越の牡蠣にしましょう。と、夢は膨らみます。
さて、今年の芥川賞第二弾(今年の前半は、2作品が受賞)。
「荒地の家族」の著者である佐藤厚志さんは、仙台市の丸善書店の書店員さんです。毎日、2時間、少しづつ書きためたそうです。
『本屋さんは、子どもからお年寄りまで、とてもリッチな人から家のない人まで、いろんな方が来る。世の中の縮図といった感じです。そういう場所、他にないんじゃないかな。本屋って珍しい場所ですよね。』
と語っています。
この小説は、東日本大震災がテーマです。
主人公は、東日本大震災を経験した造園業の一人親方の祐治です。妻は、震災後に一人息子を残して病死。その後、母親と同居。再婚するが、流産後、別れる。忙しく、軽トラに乗って、造園業を営みながら、時折、今の風景を見ながら、その時のことを思い出します。
『宅地から海のほうへ抜けると、そこは荒地ともいうべき広大な景色が北へ南へどこまでも続いていた。そこへ至る途中、土地の地面に蔓延った雑草に隠れて残る住宅の基礎に祐治は気づいた。
あの時、底が抜けたように大地が上下左右に轟音を立てて動き、海が膨張して景色が一変した。』
震災を経験していないぼくには、絶対に、分かり得ないことばかりです。その時の状況も、それからの生活も。しかし、小説を読んで、少しでも、そのことを経験した人たちの心に寄り添うことはできるかもしれません。
でも、それは、傲慢かもしれません。
いずれにしても、小説が教えてくれるものは「ある」と信じています。