「ノボさん 下巻 小説正岡子規と夏目漱石」

「ノボさん 下巻 小説正岡子規夏目漱石

伊集院静

講談社文庫

2016年1月15日第一刷発行

 

篠山城大書院

丹波篠山城は、徳川家康が、西国大名の押さえのために築城したお城だそうです。代々、譜代の大名が入城したそうです。

もともと、天守閣はなく、大書院が復元されています。今まで、数回、来たのですが大書院を見学するのは初めてです。

なかには、戦国大名の鎧・兜の展示がありました。もちろん、本物ではありません。すべて、個人の手作りだそうです。ビックリ!

 

このところ、思うところ有之。

 

会社人間を卒業して、早、4年。会社人間としてのお付き合い以外に、会社の看板のないお付き合いをすると、いろいろ、見えてくるものがあります。

 

同じ会社に居ると、おおむね価値観が似通ってくるので、少しは議論をしても落ち着くところに落ち着くものです。しかし、違う環境を歩んだ人たちとは、少し、価値観に差があるようです。

 

ある人は、「彼は、嫌だから、嫌な人とは付き合わない。この歳で、ストレスのある付き合いはしたくない。」と、ハッキリしている。そこまで、割り切れるのも凄い。

 

つくづく思うのは、ぼくは、いろんな意味で「いい会社」で過ごしてきたということです。とくに、ぼくの周りの先輩、同僚、後輩の面々とは、ストレスがありません。全くないかと言うと、あちらには、あったかもしれません。

 

結局、温室で育ったぼくは、今、外界にさらされて、ストレスを感じているということ。人生は、まだまだ、いろんなことを経験します。死ぬまでは。

 

今週は、「ボヤキ」でしたが。

 

読書感想は、先週に、引き続き「ノボさん 下巻」です。

 

子規の病状は、思わしくなく、やがて、「カリエス」という確定診断。それでも、根岸の「子規庵」では、毎日のように子規を訪ねる文人で賑やかでした。そもそも、子規は、賑やかが好き。

 

この小宇宙で、子規は、「俳諧大要」の完成を目指します。これは、紀貫之の和歌の集大成と同じく、俳句の集大成であり、子規以後の文学界に大きな影響を与えることになったらしい。

 

さて、この頃、漱石は、イギリスに留学して、イギリスでノイローゼになっていました。その後、漱石は、子規の死を、イギリスで知ることとなります。

 

糸瓜咲て 痰のつまりし 仏かな

  痰一斗 糸瓜の水も 間にあわず

  をととひの へちまの水も 取らざりき  行年三十六』

 

『筒袖や 秋の柩に したがはず

 手向くべき 線香もなくて 暮れの秋

 きりぎりすの 昔を忍び 帰るべし    倫敦にて』

 

いっときは、子規ロスかも。

早く、「ミチクサ先生」が文庫化しないかな?うむ、これ小説夏目漱石