「のろのろ歩け」
中島京子
文春文庫
2015年3月10日第1刷
600円(税別)
今年のGWは、どこにも出かけずに、近場をチョロチョロしていました。息子が帰省してこなかったので、何となく、寂しい、夫婦2人と一匹の「のんびりGW」です。
2日から6日の5日間で、3日間は、西神テニスコートで2時間づつ、テニスを楽しみました。3日間ともいっしょだった寂しい友は、同期入社で、同じ独身寮で釜の飯を食った仲ですが、テニスの腕は、僕よりは、格段に上手ですね(ちょいと持ち上げ)。いつも、お世話になっています。
2時間テニスをやると、おおかた、その後は、使いものにならないので、シャワーを浴びて、ソファーに寝そべって、テレビを観ながら、うとうとして、頃合いをみはからい、相棒の一匹と散歩に出るのが関の山です。
テニスのなかった日は、相棒を自転車に乗っけて、西神地区を一回り。電動アシスト付き自転車は楽ちんですね。相棒を前のかごに入れて、風を切って走るのは、この季節は、爽快です。
あと1日は、朝から雨。以前から懸案の僕の敷き布団を買うためにマリンピアのアウトレットへ。お目当ては、テンピュールの体圧分散ふとんです。最近、寝起きに腰が痛かったので、これがいいかな、と考えていたのですが、ちょいと、お高いので、やや、躊躇していましたが、この身のケアには変えられません。あと、4年は、元気で働かなくちゃ。
そんなこんなで、旅にも出ずに、今年のGWは、あれよあれよという間に、終わりました。
「のろのろ歩け」は、3人の女性の旅の物語の短編。行き先は、台湾、北京、上海。GWに旅に出なかったので、小説の中で、3人の女性の旅に同行しました。中島京子さんは、「小さいおうち」で直木賞を受賞。面白かったので、この本も、と、思いましたが、う〜ん、ちょっと、期待はずれかな。旅の気持ちもいまいちでしたね。
『美雨(ミウ)は、トニーと花蓮(ファリエン)へ行く列車の中で知り合った。
そして美雨は、花蓮に行く予定なんかまったくなかった。
台北駅の券売機で瑞芳(ルイファン)行きのチケットを買い、窓口で筆談をして平渓(ピンシー)線のワンデイパスも手に入れた。平渓線というのは、台北郊外を走るローカル線で、終点には、チントンという小さな無人の木造駅舎があるという。』
台湾は、戦前、母方の祖父母が暮らしていました。小さいとき、祖父の家に行くと、台湾の友人からのお土産など、中華風の置物などがあって、何となく、異国的な情緒を醸し出していました。ちなみに、亡き母も、台湾生まれです。そのため、僕は、台湾には、親近感がありますが、残念ながら、行ったことがありません。
『上海・虹橋(ホンチャオ)空港に出迎えはなかった。
不満を頭に響かせながら、亜矢子は出租汽車(Taxi)という表示に向かって荷物を引っ張った。タクシーは列を作っており、比較的大きくてきれいな車が多くて安心したが、滞在先の名前を口にする自信はなかった。液晶画面の文字を拡大して運転手に見せると、車は、無国籍な感覚の空港を抜けて高速道路を走り出した。
窓の外が全体に薄曇りなのは天気が悪いのか黄砂のせいなのか、訊いてみようにも亜矢子は中国語がしゃべれない。飛行機の窓から眺めた上海の街はひどく人工的で、高層ビルがこれでもかと屹立(きつりつ)するかと思えば、赤や青の屋根が延々と続く低層の建物も結構な面積を占めていて、いずれにしても緑や水があまり見られないのだった。』
上海は、亡き父が、学生時代を過ごし、その地で応召され、中支派遣軍に配属されたそうです。、小さいときには、よく上海の話を聞いたものです。そのため、僕は、上海にも、親近感がありますが、残念ながら、行ったことがありません。